政府の“中小企業イジメ”が止まらない。日本企業の9割を襲う厳しい現実
新型コロナウィルスが猛威を振るうようになり、1年以上経過したものの政府は一向に適切な対応を見せない。なかでも、そのシワ寄せは中小企業に集中している。中小企業は日本の会社の9割以上を占め、日本経済を支える屋台骨と言っても過言ではない。
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コロナ禍以前を振り返ると、消費税の引き上げの影響においても中小企業は大きなダメージを負っていたようだ。
「2019年10月に実施された消費税10%の影響により消費需要が削がれました。加えて、よく“消費税は価格転嫁するから企業に負担はない”と言われますが、実際は上昇した消費税2%を売値に転嫁できず、自社で負担する中小・個人事業は珍しくなく、コロナ前から危機に瀕していました」
その後、2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大。政府は企業支援策として“持続化給付金”を設けるも、給付は1回きりで2021年2月に申請受付を終了する。
「代替策として“一時支援金”が導入されましたが、中小法人に上限60万円、個人事業主に上限30万円と微々たるもの。2021年に入って緊急事態宣言を繰り返し発令したにもかかわらず、物足りない上に対象者が理不尽に絞られています」
「また、“一時支援金”同様、持続化給付金の代替策として“事業再構築補助金”という、最大1億円と大胆な補助金制度も導入されました。事業再構築補助金は簡単に言いますと規模拡大や生産性上昇、グローバル展開を目指す企業を対象に支援するもの。しかし、今日明日の経営に苦しんでいる企業からすれば、事業展開を悠長に計画なんてできません。対象が限定的で、使い勝手は非常に悪い支援策です」
小泉政権下から“ゾンビ企業”や“新陳代謝”といった言葉を使用し、中小企業の支援に後ろ向きな印象があったが、この傾向は「菅義偉政権になって露骨になっていった」と松尾氏は語る。
「菅首相のブレーンを務めるデービット・アトキンソンさんは、日本企業の生産性が低い要因として中小企業の多さを挙げています。かねてから『慢性的な赤字企業は、ただの寄生虫』『小規模事業者に補助金を出す必要はない』と発言しており、コロナ禍を好機と見て、中小企業の淘汰を進めようとしているのです」
にもかかわらず、政府が中小企業に適切な措置を講じないのはなぜだろうか。立命館大学教授の松尾匡氏に“中小企業淘汰を目指す政権の狙い”、“政権が目指す日本の未来”、そして“誰もが「生きていて良い」と思える社会を作るための政策”を聞いた。
【bizSPA!より転載。リンクなど元記事に移動します】⇒
不十分すぎる補助金制度
菅政権は中小企業の淘汰を目論んでいる
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