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「飲みに行こうか」上司や先輩の誘いが憂うつすぎる緊急事態宣言明け

「どうにか断る方法はないものか」

「あるベテラン所員が、ワクチンを二回打っていようが感染することはあるし、注意するに越したことはありませんよ、とたしなめたりもしたんですが、頑として“今日行く”と譲らないんです」  そんなわけで、普段から所長の誘いに二つ返事でOKしていた、下を向いていた彼が連れ出された。その日から連日、別の同僚が所長に呼ばれるようになり、中野さんは「どうにか断る方法はないものか」と頭を悩ませている。  この所長のように「ワクチンを二回打った」安心感からか、酒を飲みに行こうと、マスクなしで会話しようがおかまいなし、という人たちが増え始めている。

二回のワクチン接種を済ませた安心感

つまみ 大阪市在住の会社員・村田康一さん(仮名・30代)も、そんな「思い込み上司」に翻弄されている一人。 「9月の初め、上司からかなりしつこく誘われて、飲みに行ってしまいました。その店は、緊急事態宣言中もガンガン酒を提供し、朝までやっていたような店。行けば、狭い店内に十数人が肩を寄せ合いひしめき合っているような状態で、全員がかなり酔っ払っているようでした」(村田さん、以下同)  来てしまったものはしょうがないと、上司に勧められるがままに酒を飲み、久々の飲酒でかなり泥酔してしまった。  翌日起床したのは、すでに出社時間が過ぎた昼前だったが無理もない。午前5時過ぎまで飲み明かしていたのである。上司に電話すると、なんと上司も飲み過ぎで寝坊したらしい。しかし、上司の口から飛び出たのは、信じられないような身勝手な言葉であった。 「それはお前がだらしがないからだ。俺は酒のせいではなく、単純に体調が悪いだけだから、酒を飲みに行ったとか言うと誤解を招く、だから昨日の話はするなと。結局、僕も体調が悪いということにしてその日は休みました。ただ、同僚は全員知っていますし、僕も上司と一緒の“闇飲み仲間”扱いされていて。断れるものなら断りたかったですよ!」
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店で陽性者が発覚した途端「俺は知らない」
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。

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