「飲みに行こうか」上司や先輩の誘いが憂うつすぎる緊急事態宣言明け
「緊急事態宣言が明けたら飲みに行こうか」
社内でそんな誘いの声がちらほらと聞こえてくるなか、ついにその日がやってきた。東京では7月12日から続いた緊急事態宣言が9月30日で解除された。10月1日は金曜日。新型コロナウイルスの新規感染者数は連日200人台にまで下がり、二度のワクチン接種率は総人口の半分以上完了させている……となれば、国民が期待するのは「かつての日常」が、もうすぐそこまで来ているのではないか、ということである。
「もう1年以上、仕事終わりに外で飲むことも、外食することもしていません」
都内在住の税理士事務所に勤務する事務員・中野佐智子さん(仮名・20代)も、コロナ禍の自粛疲れと、どこにも遊びに行くことができないというフラストレーションに押しつぶされそうな日常を送っていた。
だが、夏が終わり、秋の気配を感じるようになってきたのと同時に「間も無くコロナ禍が明けるのではないのか」などと、まるで梅雨明けの後の夏休みを待つ子どものような気分になっていたと話す。同僚たちも「2年帰れていない実家に帰ることができる」と色めきだっていた。
しかし、事務所の所長である税理士の上司にかけられた一言に、全員が凍りついた。
「仕事終わり、唐突に“今日は飲みに行こう”と言われたんです。もちろん、その場にいた全員がまだ早いのではないか、と内心思っていて。普段なら“オゴリなら行きます”とふざけてみせる若い所員ですら、下を向いたまま。でも所長は冗談ではなく、本気で飲みに行こうとしていたみたいで……」(中野さん、以下同)
最近の上司を振り返ってみると「もう二回(ワクチンを)打ったのだから、飲みに行ってもいい」とか「マスクも消毒も必要ない」と言い出す始末で、所員は不安を感じていたのだ。
しかし、上司や先輩からの冒頭のようなセリフに戦々恐々とする人たちも少なくないはずだ。
まるで梅雨明けの夏休みのような気分…
仕事終わりに上司が「飲みに行こう」
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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