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ミャンマー市民を虐殺する国軍と、日系企業が商売を続ける愚。数年後にすべてを失う

日本と日系企業のあいまいな態度

人権問題を重視し、制裁・撤退などの行動に移す欧米企業に比べ、日本政府と日系企業の動きの鈍さが目立つ。 日本では6月に衆参両議院でミャンマー国軍に対する非難決議が採択されている。それにも関わらず、この9月には「ミャンマーODAの重鎮」と言われる日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長がミャンマーを訪問、軍評議会の高官らと農業支援などの協議を行なっている。これでは日本が国軍を支援しているという間違ったメッセージを海外に発信することになりかねず、在日ミャンマー人からも懸念の声が高まっている。
日本ミャンマー協会が大臣に面会

日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長(左)が現地を訪問し、暫定政府の農業•畜産•灌漑省ティン・トゥッ・ウー大臣(右)と面会した

今の国軍が解体されミャンマーに真の民主化が訪れるまでには3年ほどの内戦が続くかもしれない。そして、国軍によるさらなる虐殺も発生する可能性があると私は予想している。しかし今回の軍事クーデターが既成事実化され、国民の人権も自由もない軍事政権が誕生してしまえば、ミャンマーの未来も、日系企業のビジネスも、そして日本の国益も失われるだろう。

日本は民主派への支持を打ち出すべき

そのためにも日本政府や日系企業は目先の利益ではなく、数年後のミャンマーの復興、発展のために、民主派NUG(国民統一政府)への支持をはっきりと示すべきだ。そして、内戦による食料や医療支援、難民の救済など積極的な人道支援に取り組むべきなのである。 <文/永杉豊>
ミャンマー及び日本でニュースメディアを運営する、ミャンマー情勢に精通した専門家。ミャンマーの現地ニュースを日本語情報誌とインターネットニュースで配信する「MYANMAR JAPON(ミャンマージャポン)」のCEO。著書に『ミャンマー危機 選択を迫られる日本』。日本の国会議員とミャンマー民主派NUG(国民統一政府)閣僚との橋渡しも務める。
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ミャンマー危機 選択を迫られる日本

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