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研究されつくしたサッカー日本代表、オーストラリア戦で見えた新たな“強み”とは

シュート数12本、枠内シュート率50%

サッカー日本代表

写真提供:JFA

 ボール支配率は45.8%と相手に上回られてしまったが、シュート数では12本と相手よりも3本も上回った。しかも、相手のシュートは半数以上がペナルティーエリア外と確率の低いものだった。  対して日本は、ペナルティーエリア内からのシュートが10本と相手ゴールに近い位置から狙えており、それが冒頭の感想につながっていると考えられる。このエリア内シュート数は、圧倒的に攻め続けた中国戦よりも多くこれまでの4試合において最高記録である。  また、枠内シュート率も50%とこれまでの試合の中で最も確率が高く、本当の意味でこれまでより多くの決定機を演出した証拠となる数字を残している。

システムを4-3-3に変更

サッカー日本代表

写真提供:JFA

 直近の試合よりも多くチャンスを作れた要因は、試合を見ていた人にはおわかりだろうが、システム変更にある。オーストラリア戦ではMFに守田英正と田中碧を起用し、システムを4-3-3に変更した。森保一監督は試合後に「2人のコンディションが良かったのと、オーストラリアとのマッチアップを考えたときに今日の形が良いという判断で進めました」と、2人の起用理由を語った。  その思惑通り、守田、田中、遠藤航の3人で形成した中盤でボールを絡め取る場面を多く作り出せた。サウジアラビア戦ではボールの奪いどころを決められずに、ディフェンスラインを下げて対応するように追い込まれた。その結果、素早く相手ゴールに迫るような展開は作れず、相手の守備陣形が整った状態で攻撃を仕掛けるシーンが多くなってしまった。  しかし、オーストラリア戦では相手を追い込みボールの奪いどころを決めたことで、高い位置でボールを奪うことができるようになった。さらに、南野拓実と伊東純也をサイドの高い位置へ配置したことで奪った後のボールの出しどころを相手サイドバックの裏に作った。守備から攻撃の展開という戦略を明確化したことがチャンスの多さにつながったのだ。
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システム変更に即対応できるチーム力
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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