来年に向けて「秋」からできる対策
そんな夏の間に退治ができなかったゴキブリ。秋冬に対策をするなら、どうしたらいいのだろうか。
「ゴキブリ対策は、卵が孵化し、また休眠していた幼虫が活動をし始める
4月〜5月にベイト剤(※)を置いて過ごすのがいちばん効果的です。秋、冬になると効果は下がります。でも何も対策をせずに放置していると、来年の春に一気にゴキブリが出るので、ゴキブリ対策は秋頃までにしておいた方がいいです」
(※)「ブラックキャップ」「コンバット」「ホウ酸団子」などの駆除剤
具体的には、春同様にベイト剤を置く対策でいいという。
「ゴキブリが休眠に入る前の秋なら、まだ殺虫剤などが効きます。ベイト剤を置いたり、くん煙剤を焚いたり、スプレー式駆除剤を散布するなど、対策を行ってください。休眠に入ると、幼虫にはあまり効果が期待できません。ただ、成虫に関しては、元気に動いていればベイト剤や殺虫剤も効果はあります」
ゴキブリ対策として便利で手軽なベイト剤だが、ペットがいる場合は気軽に置けないこともあるだろう。
「忌避効果のある
ハッカ油を使えばゴキブリ対策になります。使い方としては、
スプレーで散布する、脱脂綿に染み込ませて置いておくなど。しかし、ネコを飼育している場合は絶対に使わないでください。ハッカ油は猫の肝機能を低下させる可能性があります」
公園の意外な場所に、ゴキブリの卵が隠されていることも
コロナ禍の巣篭もり需要で人気の観葉植物も、秋冬の間は要注意だという。
「観葉植物やプランター、外に置いてある鉢の中などで、成虫が卵を産んで残っていれば休眠しているかもしれません。そのため冬でも外に置きっぱなしはやめた方がいいです。家の中も同様に、夏の間にゴキブリが卵を産んでいれば、春に幼虫が出てくる可能性があります」
もちろん、寒くなっても野外にはゴキブリが生息している地帯がある。公園や街路樹、神社などにある木のうろ(穴が空いている部分)に、ゴキブリの卵が隠れているそうだ。
「都内の公園の木にもゴキブリは潜んでいます。公園に産み付けられていた卵が孵化して、そこから巣立ったものが家に入ってくることもあります」
木のうろ(樹洞)
「うっかり遭遇」を防ぐために
季節を問わず、どこかに生息しているゴキブリ。夏が終わった頃に使わなくなったエアコンからゴキブリが出てきた……なんて経験も一度はあるはずだ。
「エアコンの内部にゴキブリの卵があったという事例もあります。外から入ってきたというよりも、家の中に居ついたゴキブリが、たまたまエアコンの中に潜んでいて、産卵した可能性が高いです。
とはいえ、外からゴキブリが侵入する可能性も。防止策としては、
エアコンのドレンホース(屋外につながっている排水ホース)に、ネットかキャップをつけておくのがいいですね。台所の排水口用ネットを輪ゴムでつけるだけでも違います。エアコンを使わない時期でも、対策はしておくにこしたことはないです。なお、ネットやキャップをつけると、ホコリやゴミが溜まってしまうので、定期的に交換やお手入れをしてくださいね」
エアコンのドレンホースの先に排水口ネットを付けたもの
夜寝ている間に「カサカサ」と忍び寄る不快な音。気づけば、布団から出ている手や足の近くにいるなんて場合もある。
「ゴキブリは夜行性なので、そういったケースもありますね。『ゴキブリの気配がして寝れない』『ゴキブリを見つけたけど、逃がしてしまって寝れない』時は、
寝具の近くにハッカ油を含ませた脱脂綿を置いておくのはどうでしょうか。ゴキブリはハッカ油の匂いが苦手なので、近づいてこないと考えられます。
そして、翌日にくん煙剤やベイト剤で駆除しましょう」
これで夜も安心して眠れそうだ。
うっかり壁にいるのを見つけてしまい、倒そうと思ってもバタバタと飛び跳ねる。殺虫スプレーで狙う時に、何かコツはあるのだろうか。
「ゴキブリはほとんど上には飛べず、
“上から下”に滑降します。必ずどこかに着地するので、
いったん待って、着地したところを狙ってスプレーを吹きかける。決して慌てないこと。
殺虫スプレーには、狭い隙間からも興奮して出ていく“追い出し効果”がある成分が含まれているものがあります。これによってゴキブリはジタバタするんです。その後に息が絶えます。もしも逃げ出してしまっても、ある程度薬剤がかかっていれば、そのうち死ぬことが多いのでご安心を」