エンタメ

「ひとりでいることが一番の軽量化」キャンプブームの火付け役・ヒロシが語る人生譚

地方でかけられた一言

ヒロシ

キャンプ動画が人気になったことへの葛藤も…… 写真/SPA!編集部

 それまでは「見られない」と思っていたYoutubeの動画だったが、地方で行われたサイン会で言われた一言が大きな転機となる。 「地方で開催されたサイン会で『ヒロシちゃんねる観てます!』と言われたときには、かなり驚きました。それが徐々に増えていった感じですね。それでちゃんとやろうと思い、一眼レフカメラを買いました。そこから再生回数が増え続けて、キャンプブームになって……。あれだけビジネスを狙って動いてきたのに、全く狙っていなかったキャンプ動画が当たるとは思いませんでした」  遊びで始めたキャンプ、そして友達に見せるために動画を作ったことで、結果的にキャンプブームの火付け役となってしまったヒロシ氏。現在は新規でキャンプを始める人が急増しているが、このキャンプブームが起きたことで、ヒロシ氏はどういった変化があったのだろうか。 「キャンプブームによって、行けるキャンプ場は減りました。ひっそりとやりたいタイプなので……。キャンプ場で『ヒロシさんですよね? ちょっと写真お願いします』とか言われると、正直落ち着かないんですよ。動画を撮っていても、どうしても『ココは撮らないと!』って場面があって、例えば肉の『ジュッ』って音を撮っている瞬間に『すみませーん』という声が入ると、勘弁してくれよってなります。  だから海外でのキャンプも考えましたが、今はコロナで行きにくいですしね。キャンプグッズもYouTubeで紹介したのが高騰して、前は3000円で買えたランタンが、ヤフオクで15000円で売られていたりとか……。好きなことが仕事になっているのはありがたいですが、正直なところ、けっこう不自由しているというのが本音です」

声をかけられたくないから山を購入

 新規のキャンパーが増え、ソロキャンプを行っているヒロシ氏に対するマナー違反ともいえるお声がけが増えてしまったようだが、ヒロシ氏は自身で保有している山林がある。キャンプ場に行くのとは、また全く別の世界なのだろうか。 「声をかけられたくないという理由で、山を購入しました。そうしたら完全に”ソロ”を楽しめるので、撮影するにしても快適です。だからといってずっと同じところだと飽きるので、他のキャンプ場も行くんですけど、数年前は1人もいなかった冬場のキャンプ場ですら、今は予約でいっぱいですからね。  でもブームになっていなかったらYouTubeもここまで観られていないだろうし、仕事も増えていなかったと思うので、僕としてはイイことの方が多いです」  完全にソロで楽しめる場所を購入し、ゆっくりと物思いに耽る時間も好きだと語るヒロシ氏。一般的にキャンプシーズンといえば、春〜夏といった暖かい季節を思い浮かべるだろうが、冬のキャンプこそ魅力が詰まっていると語る。 「本来なぜ夏に行くものだと思われていたかっていうと、夏休みがあったからなんですよね。子供を連れた家族で行くとなったら、夏しか行けませんから。でも夏に行くと虫多いし暑いし……。よくよく考えたら何もいいことないんですよ。  冬のキャンプで焚き火して料理作って……、といった動画を上げてたら、冬キャンプの良さが世間にバレてしまいました。それで冬も全然予約が取れなくなりましたけど、でもキャンプもブームなんで、そのうち終わると思っています」
次のページ
キャンプで思いついた言葉
1
2
3
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
記事一覧へ
おすすめ記事