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大谷の愛犬「コイケル」知名度急上昇で「保護犬団体が頭を抱えるワケ」。飼い主が迷惑行為を受けるケースも

 大谷翔平選手の愛犬として、すっかり定着したコーイケルホンディエ(以下、コイケル)のデコピンくん。2023年のア・リーグMVP発表の際、受賞インタビューで初めてメディアに登場。その後の2024年シーズン中、大谷がデコピングッズを身につけたり、本塁打を打った際にデコピンポーズを披露するなど、たびたび話題になっていた。  なかでも大きな話題となったのは、今年7月にドジャース本拠地で行われた始球式。マウンド上に置かれたボールを咥え、ホームベースの後ろで待つ大谷選手のもとへ一気に駆け寄る姿は、日米ともに大きく報道された。  日本ではかなりマイナーな犬種であったが、世界的なスーパースターが飼っていることを公表したことで、一躍知名度を上げることになったコイケル。この影響により、一時期ペットショップやブリーダーのもとに問い合わせが急増したようだ。  都内ペットショップ勤務のIさんによると、「この一年間で、お客さんに『大谷の犬はいますか?』と何度も聞かれました」とのこと。

犬猫保護団体が頭を抱えるワケ

 有名人が犬を飼っていることを公表することにより、その犬種の注目度が一気に高まることは過去にもあったという。NPO法人 みなしご救援隊 犬猫譲渡センターの理事を務める佐々木博文氏に話を聞いた。 「20年以上前ですが、安室奈美恵さんがキャバリアを飼っていることを公表し、当時キャバリアが人気犬種となりました。それ以降もメディアの影響による特定の犬種ブームはたびたび起きていましたが、特に印象的だったのはチワワですね。2002年にアイフルのCMに出演したことで、一気にチワワブームが起きました。当時のチワワ人気は凄まじかったです」  ただ、こういった一時の犬種ブームは、保護団体を苦しめることに繋がる恐れがあるという。 「犬や猫を安易に飼い始めてしまうと、その後のお金の問題や近隣住民からの苦情など、さまざまな問題に直面することがあります。その結果、飼育放棄をしてしまう人が増えてしまう恐れもあるのです。犬を飼うためには、愛情だけでなく、環境を整えること、アレルギー検査を受けることなど、多くの準備が必要になります。だから安易に飼い始めることだけはやめてほしいです。最近では、特に高齢者の飼育放棄が増えているので、ご自身の年齢が犬を最期まで飼える年齢かどうかも、よく考えてほしいですね」  ただ、今回話題となったコイケルに関しては、「珍しい犬種ということもあって、衝動買いして即飼育放棄といった例は今のところありません」と話した。

飼い主が語る「コイケルを飼うことの難しさ」

「どの犬種でも同じですが、特にコイケルは衝動的に飼い始められるような犬ではないです」  そう話すのは、都内でコイケルを飼っている主婦のAさん。旦那さんと娘さんの3人暮らしのAさん宅に、コイケルを迎え入れたのは4年ほど前のこと。その2年前から、犬を迎えるための勉強を始めたという。 「家族で何度も話し合った結果、コイケルをお迎えしようという話になりました。ブリーダーさんに問い合わせると2年待ちとのことだったので、お迎えするまでの2年間、自分たちなりに犬を飼うことについての勉強をすることにしたんです。アレルギー検査を受けたり、犬に関する本をひたすら読んだりと、家族3人で多くのことを学びました。特に保護犬団体さんから一時的に保護犬を預かる『預かりボランティア』では、“犬はかわいいというだけではない”ことを学ばせていただき、お迎えするまでの2年間でリアルな犬の経験値を積むことができたと思います」
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「デコピンくんには優秀なドッグトレーナーがついているはず」
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Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
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