’80年代のギャルソン、’90年代のマルジェラ、’00年代のエディ・スリマン……各年代ごとにトレンドの流れを変えるファッションヒーローが存在しました。 　近年は価値観の多様化が進み、ヒーロー不在の時代が続きますが、それでも’10年代では何人かのキーパーソンが思いつきます。 　そのうちの一人がリカルド・ティッシ。異論を挟むアパレル関係者は皆無でしょう。元ジバンシイ、現バーバリーのデザイナーです。 　マドンナ（彼女はファッションに対してのこだわりが強く、自身が認めるデザイナーにしかやらせない）やビヨンセなどインパクトの強いアーティストの衣装を手がけたこともありますが、何より「ストリートとハイブランドの融合」を最初に広めた人物。 　今でこそルイ・ヴィトンやディオールなどハイブランドはどこもストリートライクなアイテムを強化して提案していますが、ほんの15年ほど前まではこれほどまで一般的ではありませんでした。 　ストリートとハイブランドの間には確かな「境界線」があったのです。