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現役看護師が見つけた“心の拠り所”「コロナ禍で毎日泣いていた」

「等身大の自分でいる」ことの大切さ

ゆなしゃん ライブ配信は業界的にも波があるという。リスナーが急激に減ってしまう時期もあり、そのタイミングで「もういいかな」と諦めてしまうライバーも多いのだとか。 「ライバーとリスナーは“気合い”みたいなものが一致していないと、空回りして関係値が崩れてしまうんです。たとえば、ライバーが頑張りすぎても『ついていけない』って思われるし、リスナーが頑張りすぎても『こんなに応援しているのになんで応えてくれないの?』って。そのバランスが難しいんですよね」  ゆなしゃんは“等身大の自分でいる”ことを念頭に置いている。 「恋愛と同じで、背伸びをしすぎては長続きしない。現役の看護師ということで、プロフィールからは“堅め”に思われるのですが、すっぴんにスウェットみたいな格好で配信していて。あとは、できないことは『できない』と伝えるようにしています」

ライブ配信の経験が看護師の仕事に活きている

 ライブ配信は相互コミュニケーションではあるものの、基本的に相手の顔は見えないものだ。だからこそ、その経験が看護師の仕事にも活きているそうだ。いったい、どういうことか。 「リスナーのコメントだけで気持ちを汲み取って、人物像を想像していく。どこまで踏み込んでいいものか、“距離感”を掴まないといけない。ただ、そのおかげで外見の先入観にとらわれず、人を見れるようになりました」  ゆなしゃんの働く心臓血管外科では、“人生の転機”を迎えている患者が多いという。 「患者さんは病気を宣告されてナイーブになっていたり、大きな手術をして人生の変化に戸惑っていたりする人が多いんです。今までは元気だったのに、これから家族や仕事はどうなるのか、いろんな問題に直面している。  そんな人生の転機においては、何気ないひと言に心情が詰まっている。だから、注意深く耳を傾ける必要がある。もしも気になることがあれば、お話をする時間をもうけたり、主治医の先生に相談したり。励ましの言葉をかけてあげることが有効な人もいれば、そうではない人もいるので。  相手との距離感を探っていくうえで、その人の見た目や社会的地位など関係なく、ひと言ひと言が大切ということをライブ配信を通して学んだので」
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“心の拠り所”をつくること
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi

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