では、球の打ち出し方向と球筋を決定するものは何か。簡単に説明すると、球の打ち出し方向は「フェースの向き」、球筋は「スイング軌道」によって決まります。 　こうした飛球法則は、弾道計測機器の飛躍的な進化によって科学的に解明された理論で、日本で取り上げられるようになったのはほんの数年前のこと。むしろそれまでは、「打ち出し方向はスイング軌道、球筋はフェースの向きに影響を受ける」と、まったく真逆の理論がまかり通っていました。そのため間違ったレッスンが行われ続け、いまだに科学的な理論を無視した雑誌の記事やレッスンも散見されます。 　具体例を見ていきましょう。目標の左に飛び出してから右に曲がるスライス（上イラストの③）ならば、インパクトでフェースが閉じ、クラブがアウトサイドインの軌道で入っていることになります。 　同じスライスでも、右に飛び出して右に曲がるスライス（上イラストの⑨）の場合は、インパクトでフェースが開き、アウトサイドインの軌道を描いているということ。同じスライスでも、かたやフェースの閉じすぎ、かたやフェースの開きすぎと、改善すべきポイントはまったく違うのです。 　ミスショットを減らすために、自分のスイングを知ることはとても重要ですが、改善すべきポイントは目の前のショットがすべて教えてくれているんです。 打ち出し方向は「フェースの向き」で、球筋は「スイング軌道」で決まる 構成／舟山俊之みつはしよしかず●’74年、神奈川県生まれ。日本プロゴルフ協会認定ティーチングプロA級。ジュニア育成、ツアープロコーチとしても活躍。YouTubeの「三觜喜一MITSUHASHI TV」は登録者数41万人超