更新日:2022年03月25日 13:24
エンタメ

女優・若月佑美が「老いるって面白いな」と感じたワケ

あまり写真のセンスはないんです(笑)

――今回の深川栄洋監督は、「演出に重要なところは役者の耳元でおこなう」という囁き演出と書かれていましたが、若月さんも何か囁かれましたか? 若月:ありました。真琴は、主人公の晴人に思いを寄せているんですけど、それが男性として恋愛感情もあれば、仕事の後輩という思いの2つがあって。それをどう出していくのかを囁いてもらいました。あとは、現場でカメラマンの上司から名前を呼ばれるというシーンがあって、自分の癖として目上の方に喋りかけられたらそっちを振り向いてお芝居をしていたんです。でも、監督からカメラマンという職業や2人の関係性的には、顔を見ずに何かをしながら次の作業に移るっていうことを指摘されて。台本上の設定だけでは表現できない世界があるんだなと知れたことも大きかったです。 ――普段は写真を撮られることのほうが多いと思いますが、新たな発見も多かったですか。 若月:私が普段関わっているカメラマンの方は人物を撮っている方が多いんですが、真琴は風景を専門に撮るカメラマンなんですよね。自然と向き合ってどういうものを撮ることをゴールとしてやっている人物なのかっていうところはすごく考えました。私、あまり写真のセンスがなくて、普段も全然撮らないので。 ――そうなんですか!? 美術展覧会「二科展」に8年連続で入選されているので、てっきり写真の才能も……。 若月:やっぱり写真はセンスだなって、改めて思いました(笑)。私が撮る写真だと、ただの記録になっちゃう。写真から派生して言葉を書いたり、絵を描いたりすることはできるんですけど、写真を完成形として撮る技術が自分にはまだないです。今回、山に登るシーンでもカメラを持ってたった一枚の写真を撮るために、これだけのパワーを使うっていう風景カメラマンの尊さっていうのはすごく感じました。

SPA!連載への思い

――若月さんとSPA!の付き合いでは、2019年8月から月イチのエッセイ&フォト連載『履きなれない靴を履き潰すまで』がスタートしました。改めて、どのような気持ちでやられているかをお聞きしてもいいですか。 若月:自分を自分として、表現させていただけるありがたい場だなと思っています。女優という仕事をやらせてもらっているので、その役の人としてカメラの前に立っているから、全部、私としては立っていません。それに若月佑美という人間を知ってもらう場所が、そこまでない状態なんですよね。そのなかで、なんの役でもない若月佑美が日頃思ったこととか、感じたことを表現できるのが嬉しい。 女優をしている立場では、与えられた役として世の中の人に寄り添いたいという気持ちがあるんですけど、それ以上に、若月佑美として誰かの傍に寄り添って話を聞いたりとか、役に立ちたいっていうのが人生の目標。そのひとつをやらせてもらっている気持ちです。 例えば、連載で「幸せ」というテーマのときは、「今が幸せだったら次に不幸が来るなんて思わずに、これを機にもっと大きな幸せが来るっていう考え方をしてもいいんじゃない」という思いを書かせてもらいました。その文章に救われると言ってくれる誰かがいてくれたらいいなって思いながら、連載を書かせてもらっています。 ――反響はありますか? 若月:ありました! サラリーマンの方からが多いんですけど、前に「連載を読んで、胸に刺さりました」という感想をいただいて。SPA!ファンの方で、パラパラめくっているなか私のページを読んでもらえて、そう感じてもらえたことがすごく嬉しかったです。 ――そんなことがあったんですね。SPA!編集部も喜びます。 若月:SPA!を読むタイミングって、通勤前とか会社帰りとか、ご飯を食べながらだったりするじゃないですか。私は勝手に、SPA!は会社での立場とか肩書きがなくなって、サラリーマンが普通の人になる瞬間に読むものだと感じていて。そんなひと時に寄り添えるものであったらいいなと思っていますね。 ――表現の場でいうと、最近はミュージシャンのMVなどに出演されることも多いので、音楽活動のリクエストもあったりしますか? 若月:いや~、私は歌がヘタなので(笑)。誰かの楽曲のMVに出演させてもらって、表現のお手伝いをしたいなって思うんですよね。歌うことも好きだし、音楽も好きなんですけど、写真と一緒で歌もセンスかなと……(笑)。 ――本作が配信される頃には桜の見頃も迎えていると思います。若月流のお花見の楽しみ方があれば教えてください。 若月:小さい頃に見た桜を、もう一度、家族と見てみたいです。私の故郷の静岡県には、御殿山とか岩本山公園などの桜の名所があるので、私も年齢を重ねて同じ考えができるようになった今だからこそ、親と一緒に見たいなって思います。小学生の頃にしたお花見が最後なので、それは絶対叶えたい夢ですね。大切な人と静かに眺める桜も素敵だなって感じています。 取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧 ヘアメイク/AYA スタイリング/蔵之下由衣 衣装協力/KIMHEKIM(EMME Co., Ltd) LEINWANDE(LEINWANDE CUSTOMER SUPPORT) MANA(コンゴルディア)
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