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サッカー日本代表、実は決定力不足じゃなかった? 欧州トップチームと比較した結果

欧州のトップチームと比較してそん色ない数字

途中出場で2得点と大車輪の活躍を見せた三苫 ©JFA

 ヨーロッパ各国のトップリーグで今季最も得点を挙げているチームがドイツのバイエルン・ミュンヘンだ。リーグ戦27試合を行い81得点を挙げているバイエルンは、1試合の平均シュート数が20.3本で1試合の枠内シュート数が8.2本となっており、1試合の平均得点は3点となっている。2位がイングランドのリバプールで29試合を消化して75得点。平均シュート数19.1本、平均枠内シュート数7.2本、平均得点2.6点という成績だ。  この2チームとオーストラリア戦での日本を比較すると、「決定機」をつくった数はトップクラスだったと言える。「決定力」に関しては、シュート数に対してもう1得点くらいあってもおかしくないかなというくらいで、さほど大差はない。  ちなみに、3位がイングランドのマンチェスター・シティなのだが、ここまで29試合で68得点となっており、平均シュート数が18.5本、枠内シュート数が6.8本、平均得点2.3点となっている。また、スペインで現在首位のレアル・マドリードは29試合59得点、平均シュート数17.1本、平均枠内シュート数6.6本、平均得点2点という成績。その他のトップと言われるチームの数字と比較しても、オーストラリア戦での日本代表は決定機の数、得点数ともに少ないとは言えない結果だったのだ。

決定力不足を感じてしまうワケ

 それでは、なぜ決定力不足と感じられたのだろうか。それには大きく2つの要因がある。    ひとつは、相手の守備を崩した回数に対してシュートが少ないことだろう。上記に挙げたようなトップクラスのチームは、相手の守備を崩したときには必ずと言っていいほどシュートにまで結びつける。しかし、オーストラリア戦での日本は、相手を崩していてもシュートまで結びつけられなかった場面も目立っていた。  もうひとつは、試合運びの問題と言える。終盤まで得点が決まらなかった展開だったが、仮に前半のうちに1点でも決まっていたらもっと余裕のある試合運びをしながら、決定機をつくれたことだろう。得点が欲しいときに決められなかったため、ゲームを難しいものにしてしまった。そして、見ている人にも得点が欲しいとフラストレーションを募らせてしまったが故の精神的な要因が挙げられる。  見ている人の感じ方と実際の数字の差異だったという結論にはなるが、実はこの要因は本大会に向けた大きな課題になる。本大会では相手の実力も上がるため、オーストラリア戦ほどの決定機はつくれない。そのような状況でも得点を挙げるためには、やはりシュート数を増やすしかない。もちろん、相手の守備を崩す回数も少なくなるため、崩したときは必ずシュートに結びつけて決定機を増やさなければならないだろう。  そして、試合運びはもっと重要なものになる。これまでも本大会では、この部分が劣っていて敗戦を喫している。状況に応じたチームの意思統一と実行できるクオリティーをもっと磨くべきだろう。ただ、これに関しては苦戦を強いられた最終予選の厳しい戦いのなかで成長が見られている。そういった流れを踏まえると、早くも本大会への期待が膨らんできてしまう。

3月26日に行われた会見での森保監督と吉田 ©JFA

<文/川原宏樹 写真提供/日本サッカー協会>
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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