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サッカー日本代表、実は決定力不足じゃなかった? 欧州トップチームと比較した結果

オーストラリア戦は快勝

ワールドカップには7大会連続の出場となる ©JFA

 3月24日、FIFAワールドカップ出場権を懸けた大一番で、日本代表はオーストラリア代表を相手に2-0で勝利を収め、見事にカタール行きの切符を勝ち取った。  残り2戦で、3位オーストラリアに勝ち点3の差をつけていた2位の日本は、引き分けでも及第点という状況だった。それでも自らの力で勝ち取りにいかなければ欲するものを手に入れないと知る森保一監督は選手らに、「いろいろな難しい判断をしなければいけないと思うけど、積極的と消極的なところがあれば積極的なほうを選択してプレーしてほしい」と指示を与えた。指示どおり積極的なプレーで勝ち点3を取りにいった選手らは、この試合で出場を決めるという気迫にあふれており、序盤から多くの決定機をつくりだした。いつ日本に得点が生まれてもおかしくない時間帯が続いた前半だったが、結局ゴールは決まらず、逆に少ない人数で素早くゴールに迫る相手のカウンター攻撃にヒヤリとする場面もあった。  緊張感が漂う前半だったが、後半はボールを握りつつリスク回避した日本が優勢にゲームを進めた。それでもゴールが決まらず、予選突破の朗報は29日開催のベトナム戦へ持ち越しと思われた。しかし、後半44分に途中出場だった三苫薫が先制点を挙げると、その5分後にも追加点を挙げて勝利をたぐり寄せた。

本当に決定力不足だったのか?

 試合終了間際まで得点が生まれず非常にドキドキさせられた試合だったが、安定した守備で失点0に抑えた上に終わってみれば2得点という申し分ない内容で最高の結果を勝ち取った。さらに、後に行われた中国代表とサウジアラビア代表の試合が引き分けに終わったため、日本はサウジアラビアを抜いてグループ首位に躍り出ることもできた。そして、FIFAランキングを23位にまで上げて、本大会抽選のポッド分けが有利になる結果まで得られている。  それにしても、オーストラリア戦を観戦していた人はなかなかゴールを決められない日本代表にハラハラ、ドキドキ、イライラさせられたことだろう。そして、日本の永遠の課題と言われる得点力不足を嘆き、本大会に向けた懸念点と考えている人が多いのではないだろうか。守備面では安心感が出てきた日本だが、攻撃面では不満に感じている人が多い。だが、オーストラリア戦での日本は本当に決定力不足だったのだろうか。  オーストラリアを相手に90分間戦った日本は、20本のシュートを打って2得点を挙げた。また、シュート20本のうちゴール枠内に飛んだシュートは7本で、枠内シュート率は35パーセントという結果だった。同じく2-0で勝利したサウジアラビア戦では、シュート数10本、枠内シュート数3本で枠内シュート率が30パーセントとなっている。枠内に飛んだ3本のうち2本を得点に結びつけたサウジアラビア戦のほうが決定力はあったと言えるデータとなっている。ちなみに、同様に2得点を挙げた1月の中国戦は、シュート数16本、枠内シュート数6本、枠内シュート率37.5パーセントだった。同じ日本の試合を比べてみると、オーストラリア戦は明らかに決定力不足と言える数字が出てしまった。  ただ、同じチームの数字を比較しただけでは、そのチームの良し悪ししかわからず本当に決定力不足かまではわからない。そこで世界のトップクラスと言われるチームとも比較してみたいと思う。

まさに「負けられない戦い」だった ©JFA

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欧州のトップチームと比較してそん色ない数字
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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