仕事

40代転職、2年間の奮闘記「書類に落ち続けて“経歴は無意味”なことに気づいた」

コロナによってさらに状況は悪化

 そして緊急事態宣言が発出され、子供たちの学校も閉鎖され、太田さんの会社もリモートワークに。家の中で一日中騒ぐ子供たちの世話を妻としながら仕事をこなすという、これまで経験のない事態に加え、メールが届くたびに書類選考落ちで現実を思い知らされることになり、太田さんの精神状態はおかしくなってしまったという。 「元々、転職を考えるきっかけになったのは異動した部署での人間関係。上司と折り合いが悪く、リモートワークになってもリモートワークの進め方を巡って口論になりました。2020年の4〜5月はストレスマックスというより、もう、頭がおかしくなりそうでした。とにかく逃げ出したい……そんな気持ちで鬱々とする毎日でしたね。コロナ禍になっても、転職サイトやエージェントから届くメールには魅力的な求人や大企業の名前が並んでいるのに、なんで自分は書類で落ちるんだ。こんなに求人があるのにどうして……。そんな気持ちでいっぱいでした」  転職したい気持ち、合わない上司と折り合いを付けて仕事を回さなければならない現職の重圧、心の安まる場所のないリモートワークなど、太田さんは精神的に追い込まれていった。

転職活動の戦略を見直す

 そんなある日、担当していたエージェントから太田さんに1本の電話があった。この電話が大きな転機になったと太田さんは言う。 「転職活動の進行状況などを聞くために転職エージェントから電話があって、雑談を交えて1時間近く話したんです。転職活動を始めて半年経つけど書類選考も通らないこと、コロナ禍でリモートワークによるストレスのこと、職場での人間関係など……。コロナ禍でずっと人と話せない状況だったんで、気負いなく気持ちを吐き出したんです」  心がすっと軽くなった太田さん。改めてエージェントと転職に向けた戦略を練り直したという。 「まずやったのは転職先に求める優先順位の見直しでした。うちは妻と共働きなので、年収は現状維持をベースに家族でいられる時間が取れることを優先することに。年収のベースを下げたことで求人案件も増えましたね。例えば、希望年収よりも少し低くても、家賃手当や福利厚生がよかったり、副業OKだったり。年収が高くていいなと思ってよく読むと、勤務時間や業務内容が厳しかったり。求人票って漠然と見ていたんですが、いろんなことを明確化して線引きしたら、随分と書かれていることの意味が違って読めるようになってきました」
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初のリモート面接で惨敗したが…
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グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

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