仕事

40代転職、2年間の奮闘記「書類に落ち続けて“経歴は無意味”なことに気づいた」

初めての面接は転職活動開始から半年後

 こうして戦略を見直したものの、相手あっての転職活動である。ようやく納得できる企業から書類選考通過の知らせを受け取ったのは、転職活動を始めて半年以上が経っていた。 「初めての面接はリモートだったんですが、なんかリモートの面接ってなかなか落ち着かなくて……。それ以上に面接された方とはなかなかうまく話が噛み合わなくてダメ。ただ、これで気分的には随分と楽になりましたね。拾ってくれそうなとこはあるって。それからは1か月から1か月半に1社くらいの割合で書類が通るようになりましたが、面接で落ちまくりましたね(苦笑)。でも、面接慣れっていうんでしょうか、大学時代の就活って面接受けるたびに面接が上手くなってくみたいな感覚ってあったじゃないですか。それと同じでしたね」  転職活動を始めて1年半が経った頃、なんとなくそろそろ決まりそうという実感を太田さんは得たという。 「最終的に前職とはまったく違った分野のメーカーから内定をもらいました。過去のマネジメント経験と企画営業を評価していただきました。給料は前職よりも少し下がりましたが、勤務時間がフレックスで働きやすく残業や休日出勤、有給などに対する会社の考えがとてもホワイトでした。加えて魅力的だったのは若手の社員がすごく多いこと。なので、私のようなおっさんは彼らのとりまとめ役ですね」

自分を他人として見ることの大切さ

 最後に、同年代で転職を考えている人たちにアドバイスを……と、太田さんに聞いた。 「実績や経験があるから転職できるだろうって考えは最初に捨てた方がいいですね。それで転職できたら、誰も苦労してないです。実績や経験はもちろん素晴らしい財産ですが、その財産をウチの会社でどう有効活用してくれるの?ってことを相手は知りたいんです。だから、面接で大切なのは、今までのことを語るよりも会社に入ったら何をしたいのかをしっかり語ることですね。やりたいことに対して、自分はこんな経験と実績があるので、それを生かしてこうしたい……みたいなことを伝える事が大切ですね。あとは、自分が採用担当だったら、どんな人を採りたいかって考えてみるのもいいかもしれませんね」  加えて、長期戦は覚悟しろと太田さんは念を押す。 「とにかく粘ること。メンタルやられるくらい書類落ちしますからね(笑)。粘りと根性、いや、粘りと謙虚さですね。経験をひけらかして偉そうなヤツ、採用したいと思いますか?ってことです」  難しいと言われる40代の転職活動。どっしり腰を据えて臨めば、思わぬ成功が待っているのかも知れない。 取材・文/谷本ススム
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
1
2
3
おすすめ記事