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40代転職、2年間の奮闘記「書類に落ち続けて“経歴は無意味”なことに気づいた」

 転職市場は年々拡大し、40代での転職も珍しくなくなっている。「ミドルクラスの転職で年収も大幅アップ」や「ハイクラス求人」など、魅力的な言葉が転職サイトには踊っている。だが、実際に40代の転職事情はどうなのか? 今回は40代で転職に成功した人からその現実について話を聞いてみた。

自分の経験と実績には自信があった

SPA転職

写真はイメージ

「自分の経歴と実績には自信があったんですが、納得いく会社に決まるまでは2年かかりました」  と語るのは、ある中堅メーカーで今年1月から働く太田敦さん(仮名・45歳)だ。太田さんが転職活動を始めたのはコロナパニックが始まる前に遡る。 「2019年の10月くらいから転職を考え始め、年末年始の休みを使って転職サイトやエージェントに登録しました。年が明けてコロナの話がチラホラ出始めた頃に転職エージェントの面談がありました」  自身の経歴には自信を持っていた太田さんはここで打ちひしがれることとなる。 「経歴も実績もバッチリと太鼓判を押されましたが『40代の書類通過率は10%位だから10件応募して1件あれば御の字。転職が決まるまで1年近く、もしくはそれ以上かかることもあると思ってください』と釘を刺されました。それと、40代以上はポジション、年収が大きく影響すると。私は転職前は大手メーカー子会社の課長職で年収は約550万円。転職先では年収はキープしたいけどポジションはどこでも……と思っていましたが、40代の平社員に年収500万円以上払って雇うほど企業は余裕がないわけですからね。でも、この頃はタカをくくっていたんですよ、経歴と実績があればなんとかなるって」

書類落ち連続で心が折れる

 太田さんは「オレの経歴なら欲しがる会社はいくつもあるはず」と、これまでの経験と実績を疑わなかった。だが、実際に転職活動を始めると行きたいと思った会社から届くのは書類落ちの連絡ばかり……。 「メールの通知画面を見るだけで落ち込みました。ちょうどコロナ禍が始まり、本業も思うようにいかず、落ち込みましたね。よく転職のCMで『待ってるだけでスカウトが来る!』みたいに言ってるじゃないですか。確かにスカウトは来るんですよ。でも、そういう会社は待遇が悪かったり、タクシーやトラック運転手など、まるで希望とは異なる職種だったりしました」
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コロナ禍で状況は悪化
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グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

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