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サンド富澤「助演でもAクラス」の扱い。コント師にはやはり名優が多いのか

丹波哲郎と同タイプの俳優

「それしか出来ないじゃないか」と言う人もいるかも知れないが、俳優はそれでもいいのだ。映画界の重鎮・中島貞夫監督(87)から、こう教わったことがある。 「どんな役でも出来る人も名優だが、特定の役をやると抜群に光る人も名優です」  後者の代表格は故・丹波哲郎さんだった。小市民役では目立たなかったものの、偉そうな人物を演じさせたら天下一品。誰にも負けなかったという。エキスパート型の俳優だ。前者は主に劇団出身者。堺雅人(48)たちである。限られたメンバーで様々な作品を上演するため、20代のうちから老人役までこなさなくてはならない。鍛えられる。ゼネラリスト型になる。  富澤もエキスパート型に分類される。画面に登場した途端、無骨な好人物であることが伝わってくる。無理に役柄を作り込む必要がないのだから、これは強い。仙台商業高時代にラグビー部で鍛えた肉体と強面も武器になっている。最初から自衛官や警察幹部らしく見える(しかも年々ゴツくなっている)。本人は無意識だろうが、うらやましがっている俳優もいるはず。ドラマに求められているのはスマートな2枚目ばかりではないからだ。  俳優としての富澤はキャラと外見だけの人ではなく、セリフや動作も自然。これは超一流のコント師だから不思議ではない。伊達みきお(47)とのサンドウィッチマンとして2009年のキングオブコントで準優勝したのはよく知られている通り。漫才でも2007年のM―1グランプリで優勝した。その後も高い評価を受け続けている。  コントと演技は大元で一緒。どんなに面白いネタであろうが、セリフの言いまわしや動作、間の取り方が拙かったら、滑ってしまう。サンドウィッチマンは富澤の書くネタが出色であるうえ、それを本人と伊逹が完璧にこなすから大ウケする。

演技がうまいコント師はほかにも

 ほかの人が書いた脚本も演じられないはずがない。ちなみに伊逹もTBS『うぬぼれ刑事』(2010年)や同『下剋上受験』(2017年)などに出演している。サンドウィッチマンが準優勝だったときの2009年のキングオブコントで優勝したのは東京03。その角田と飯塚も俳優として活躍しているが、これは偶然ではないだろう。  東京03も飯塚の書くネタを、本人と角田、豊本明長が完璧に演じている。まるで上質の舞台のよう。だから面白い。超一流のコント師イコール演技のうまい人なのだ。  サンドウィッチマンと東京03には共通点がある。ともにお笑い界で有名な稽古の虫なのだ。超が付くほどの売れっ子になってもそれは変わっていない。劇団員が何時間も練習に励むのと同じようなものだから、セリフ回しや動作がうまくなるのは至極当然のことなのである。  2010年のキングオブコントで優勝したキングオブコメディ(2015年解散)の今野浩喜(43)も演技がうまい。最近では日本テレビで放送中の『パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜』の第2話にゲスト出演した。役柄は脳神経外科医の鮎川智彦役。実際にはマッドサイエンティストだった。今野は表向き良い人だが、本当はヤバい奴という役柄がハマるのだ。やはりエキスパート型といえる。  NHK連続テレビ小説『だんだん』(2008年度後期)、同『純と愛』(2012年度後期)など多数の作品に出演した名バイプレイヤー・石倉三郎(75)に至ってはコント師だったことを知らない人も多いのではないか。1980年代、故・レオナルド熊さんとのコント・レオナルドで大人気を博した。  石倉は実直な昔気質の男がよく似合う。同じくエキスパート系の俳優だ。超一流のコント師たちにはプロの俳優にも出せない味わいがある。今後もドラマでの活躍は続くだろう。 <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞東京本社での文化社会部記者、専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」での記者、編集次長などを経て2019年に独立
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