結婚式当日も、佐藤さんの母は式場の人たちに『これをどうぞ』と笑顔でポチ袋を配り歩いたそう。 「妻が言うには、着付けやメイクをする支度部屋で、母はポチ袋を式場の人に配りまくっていたようです。聞いてみたら中身は一万円で、これから式場の使用料などの精算もあるのに青ざめました」 　まるで佐藤家の財産を使い切るかのように、挙式に全力を尽くした佐藤さんの母。披露宴中は、病気で亡くなった佐藤さんの父の遺影をテーブルの上に置き、父の席にもお酒を注いでもらうなど厳粛モード。挙式の最中も涙を流す佐藤さんの母の姿に、高砂席から見ていた佐藤さんは、「まるで母が主役の結婚式のようだな」と感じ、奥さんの機嫌を損ねないか不安だったという。 ＜取材・文／池守りぜね＞出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X（旧Twitter）：@rizeneration