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コロナ禍でくすぶる自粛警察のトラウマ。「近所の公園に行けなくなった」人も

SNSの書き込みに心痛んだ飲食店主

 コロナによって大打撃を受けた飲食業界にも、トラウマを抱える人はいる。都内で飲食店を経営する加藤和宏さん(仮名・40歳)はSNSでの書き込みで心を病んでしまったという。 「昨年の夏、ウチは時短営業の要請を断って営業していたんです。そしたらクチコミにあることないこと書かれて、さすがに心が折れましたね。私だけならまだいいんですが、従業員やお客さんのことも書かれたり……。従業員のコはインスタのアカウントを特定されて、いろいろ書き込まれてしばらく店に出られなくなったんです」

書き込みの通知で胸が締め付けられる

 加藤さんは「私が時短営業の要請を断ったのがそもそもの原因」と非を認めるが、この一件以来、Googleのクチコミなどで書き込みがされた通知が来ると、胸が締め付けられるようになったという。とは言え、最近ではコロナもやや落ち着き客足は戻って来たのだが……。 「当時、商店街の組合からも『他の店の手前もあるし、自粛してもらえないか』と言われたのですが、これも突っぱねたので、今でもなんとなくシコリが残っています。言われるほど儲けが出たわけでもありませんしね……。最近では、クチコミも褒めてもらえることのほうが多くなってますが、できるだけ見ないようにしてます」  自分が蒔いたタネとは言え、なんともやりきれない表情を浮かべる加藤さん。心の靄が晴れる日は来るのだろうか。 取材・文/谷本ススム
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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