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作家・爪切男「正解の見つからない人生において、風俗は救いのようなもの」

アップデートしない爪切男

――今、そして今後について何か心がけていることはありますか? 爪:私たち世代は「おじさんもアップデートしないとダメだよ」とよく言われるじゃないですか。でも、アップデートとは違う何かで、若い人たちと繋がっていけないか模索しています。 そもそもおじさんなんて、完全なアップデートはできないじゃないですか。無理にやってもどこかにボロが出るんですよ。「アップデートしたふりおじさん」にだけはなりたくないですね。 ――年相応でいいんですよね。少し前に、年齢より異様に若く見える女性が「美魔女」と呼ばれて礼賛されていましたが、無理してアップデートしている姿が私には空々しく思えました。その時と似たような違和感がありますね。 爪:アップデートというと、今までの人生を塗り替えてしまうような感覚がありますからね。これまで培ってきたものを新しい色で塗りつぶすことは容易じゃありません。全てをアップデートするのではなく、できることからチェンジしてみる。まずは伝え方を工夫していくことかなとは思っています。自分の意見が正しいと思い込まず、意見が合わないからと対話を投げ出したりしない。風俗の延長のようにお金はとられないので、ゆっくりと時間をかけて考えていきたいですね。  空白を持った人がそのままで逞しく生きる姿を描いてきた爪切男。それに救われたひとはこれまでも多くいるが、性欲のはけ口とも思われそうな風俗でさえも、同じ信念が通底していた。アップデートではなく変化をしていく爪切男に今後も注目していきたい。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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きょうも延長ナリ

風俗も人生も、楽しみ方はひとつじゃない

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