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織田、徳川、武田…戦国武将が高校生に? バカバカしさもつきつめれば傑作に

日曜の夜にはピッタリのドラマ

番組ホームページより

 7月期ドラマの中からナンバーワンを決めろと言われたら、すぐに答えるのは難しい。けれど最もバカバカしいドラマは即答できる。日本テレビの『新・信長公記〜クラスメートは戦国武将〜』(日曜午後10時半)をおいてほかにない。もっとも、貶すつもりは毛頭ない。ドラマがミステリーや感動モノ、お仕事モノ、ラブコメばかりではつまらない。とことんバカバカしいドラマがあったっていい。月曜日からの仕事や学校を控え、頭を空っぽにしたい日曜日の夜に合っている。  ストーリーは単純明快。織田信長や徳川家康ら戦国武将のクローンたちが現代に15歳で蘇り、同じ高校内のクラスメートとなって、テッペンの座を争う。考察なんて全くないし、メッセージ性も皆無。ついでにリアリティもゼロだ。  キャスティングもふざけている。全員15歳なのだが、徳川家康役の小澤征悦の実年齢は48歳。主人公・織田信長を演じる永瀬廉こそ23歳であるものの、伊達政宗役の三浦翔平は34歳、黒田官兵衛役の濱田岳も34歳、武田信玄役の満島真之介は33歳、井伊直政役の駿河太郎は44歳。ドラマ史上、最も老けた高校生たちが集まった。

視聴率は低いが話題性はバツグン

 視聴者ニーズがあるのかが気になるが、7月31日放送の第2話は世帯視聴率が5.4%。個人視聴率は3.3%。低い。ただし、これだけで「ダメだ、こりや」と判断するのはあまりに早計である。  世帯と個人の視聴率は人口の約半分を占める50歳以上も見ないと上がらないが、このドラマは最初から50歳以上をターゲットにしていないからだ。なにせブッ飛んだ設定である。60代、70代、80代が放送を心待ちにするとは思いづらい。  コア視聴率(13歳から49歳の個人視聴率)は3.2%もある。同じ日の『鎌倉殿の13人』(NHK)の2.6%、『ポツンと一軒家』(テレビ朝日)の1.9%、『ナニコレ珍百景』(同)の1.8%より上だ。  若い人にはよく見られている。現時点では制作者の狙いが見事に当たった。7月24日の第1話放送後はこのドラマがTwitterの日本トレンド1位、世界トレンドで4位になった。
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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