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高齢ドライバーに禁物なのは“慣れと過信”。新形態の「認知機能検査」で見られていること

過去に違反歴があると受検が必須に「運転技能検査」

(『運転免許認知機能検査模擬テスト2023年版』誌面より)

 新設された「運転技能検査」は、免許更新期間満了日に75歳以上で、過去3年以内に以下11類型の違反歴がある人が対象となる。  これらの11類型の違反行為は統計を踏まえた、高齢者の重大事故につながりやすい違反が抽出されている。 「運転技能検査」は受検者が自動車教習所などの実際のコースで自動車を運転し、「一時停止」「右折・左折」といったいくつかの課題をこなす実技テストである。同乗する試験官が課題の達成度に応じて、減点方式で採点を行う。なお、この検査は免許更新期限内であればその都度検査費用はかかるが、何度でも受検することができる。  都内自動車教習所の教官は運転技能検査を受検する高齢ドライバーについて、次のように語る。 「普段と違う車で知らないコースを走ることに不安を覚える方もいるかもしれないが、気負わず臨んでほしいですね。普段から安全に気を付けて運転する習慣があれば、概ね合格できるはずです。ただ、実際の検査では一時不停止など、基礎的な部分をないがしろにして減点されるケースも多くみられるので、注意が必要です」 「運転技能検査」にかかわらず、長年の運転歴だからと安心せずに真摯に運転することが事故を防ぐ重要事項であることがわかると思う。  改めて、高齢者が運転の際に気を付けるべきいくつかのポイントを押さえておこう。

高齢者の運転での注意ポイントは……

(『一生安全ドライバーでいるためのハンドブック』誌面より)

 NPO法人 高齢者安全運転支援研究会によると、「高齢運転者の交通事故は加齢に伴う身体能力の衰えに加え、高速道路の逆走、ブレーキとアクセルの踏み間違いなど、認知能力の減退に起因するものも多い」という。  また、「それよりも気を付けるべきことは長年の運転歴からくる『慣れ』による思い込みや過信である。これらも重大な事故につながる悪性習慣です」とも付け加える。  さらに、「思い込みや過信による「悪しきマイルール」を見直し、自分の能力を客観的にとらえた「善きマイルール」を実践しましょう。事故確率の上がる夜間や悪天候時の運転を控えたり、不要不急の車移動を避けたり、小さなことから実践していきましょう」(NPO法人 高齢者安全運転支援研究会) 「事故を起こさないためには、的確な情報の入手と分析、そしてそこから導き出される危険への予測が大切です。運転中に見える周囲の歩行者や車をきちんと確認し、『(危険)かもしれない運転』を心がけましょう。長年の運転の“慣れ”による『いつも平気だったから今回も平気だろう』という『だろう運転』は絶対に避けましょう」(前同) 「これまで事故を起こしたことがないから大丈夫」「この交差点は車がほとんど通行しないから大丈夫」などという慣れによる過信が生じると、さらに注意力が低下する傾向があるとも指摘する。また、そういった過信が習慣化することで危険な事故を起こす確率がぐんと上がるのである。  危険を予測し、周囲を確認する安全運転の基本である「かもしれない運転」を常に心がけるようにするべきだ。  ちょっとした不注意で大きな事故につながるのが自動車運転。高齢ドライバーを親に持つ皆さんも、親御さんと自動車運転や免許自主返納について話し合うことをぜひおすすめしたい。<取材・文/日刊SPA!取材班>
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運転免許認知機能検査模擬テスト2023年版

75歳以上の高齢ドライバーの不安を解消


一生安全ドライバーでいるためのハンドブック

高齢者の無事故で快適なカーライフに必携

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