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身体を売ってもホストに貢ぐ“ホス狂い”の実態「担当に“使う”ために働く」

「担当に使うという目的があるからこそ働ける/働く気が起こる」

ホストで遊ぶお金

ホストで遊ぶお金をお菓子の箱で貯めている女性が多い(提供写真)

——SNSなどを見ると、ホス狂いを自認しているアカウントも多いですね。 大泉:“どれだけホス狂っているのか”が彼女たちのアイデンティティでもある。歌舞伎町などの歓楽街で名を上げたり、一目置かれたりする方法のひとつにもなっていますが、風俗の仕事にせよ、誰でも大金を稼げるほど甘くはないので、“選ばれし者”しかホス狂えないんです。  また、ホストやホス狂いの界隈には、とにかく頑張っている人が偉いという、ある意味すごく真っ当な価値観があって。地方都市の風俗店に出稼ぎすることも、整形することも、頑張っていることのうちに入り、それがとても“尊い”とされています。 ——本書には、収入をホストクラブに全振りする保育士のホス狂いも出てきますよね。そこまでしなくてもいいじゃないかと思ってしまいますが、なぜホストのためにそこまで頑張れるんでしょうか。 大泉:取材をするなかで「担当に使うという目的があるからこそ働ける/働く気が起こる」という女性が多かった。そうした使い道がないと、最低限の生活のための仕事すら頑張れない人もいる。彼女たちは何かひとつだけに依存しがちで、ホス狂いに費やすために仕事を忙しくして、余計に人間関係なども希薄になって極端になるのかなと。

ホス狂いへの入り口

——ふつうの会社員の女性がホストにハマるきっかけとしてはなんでしょうか。 大泉:マッチングアプリは多いです。ごはんやデートの流れで、“先輩のバースデーイベント”とかを口実に「タダでもいいから」ってホストクラブに誘う、というような手口です。 ——タダならば行ってみたいと思う女性もいるかもしれないですね。 大泉:ホストクラブの話をすると、行ったことのない女性からは「どんな場所なの!?」と興味津々の反応が返ってくることが多いです。敷居が高かったり「怖い」というイメージで足を運べないでいる女性は多いですが、基本的には、非日常な空間を「覗いてみたい」という気持ちを持っている。わたし自身も先日、ホス狂いの女性に「店内に滝が流れているホストクラブがあるけど、一緒に初回に行かないか」と誘われて、面白そうだと思い、自腹で行ってきました。ホストクラブで浴びるマイナスイオンって、どんな感じなの!? って思って(笑)。  ともあれ、ホス狂いの子もたいてい「初回はつまらなかった」と言うんですが、あるときに“担当”と出会ってハマるみたいで。初回料金の2000円、3000円で「たまにはホストで飲むか」って感じの子はホス狂い予備軍と言えます。
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バンギャや男性アイドルの追っかけから…
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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ホス狂い
ホス狂いと呼ばれる女性の多くはデリヘルやソープ、パパ活などで稼いだお金をホストに注ぎ込んでいる。担当に請われるまま数百万のシャンパンタワーを入れ、時には売掛まで作る姿は、痛ましい。しかし、彼女たちがホストにダマされ、搾取される被害者に見えるとしたら、それは少し現実とは違う。むしろ彼女たちは、自分たちが営業されている=金銭が介在した関係と知りながら、ホストに課金し続けるのだ。果たして彼女たちはなぜ、ホストに狂うのか。
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