スポーツ

サッカー森保ジャパン快勝も「替えのきかない存在」が浮き彫りに

メンバー選考に向けた最後の強化試合

 11月20日に開幕する「FIFAワールドカップ カタール2022」に出場するサッカー日本代表は、11月1日に本大会に臨むメンバー発表を行う予定になっている。  9月に行われたのが、メンバー発表前の最後となる親善試合で、23日のアメリカ戦は2-0で勝利、27日のエクアドル戦は0-0という結果に終わった。
サッカー日本代表

2-0で快勝したアメリカ戦のスタメン

 今回の試合はスコアよりも内容を重視すべき試合だ。メンバー選考に向けた最後の機会であると同時に、チームの連係を高める最後の強化試合でもあった。森保一監督は貪欲にその二兎を追い、二兎とも得たと言っていいはずだ。  強化の面から振り返れば、アジア予選で定着した「4-3-3」のシステムではなく、それ以前の定番だった「4-2-3-1」を採用し、ある程度の手応えを感じる結果に。また、アメリカ戦では好調と思われる選手から起用したようで、そのスタメンが攻守において良い連動を見せ、それを選手らが確認し合えたことが収穫と言えるだろう。  選考の面では、招集した多くの選手を出場させて現状を認識することができた。2戦目のエクアドル戦では、先発を総入れ替え。多くの選手にチャンスを与えつつ、さまざまな可能性を試していた。もちろん、思惑どおりうまくいった部分もあれば、決してそうならなかった部分もあっただろう。しかし、それらの良し悪しを本大会前に確認できたことは監督として十分な仕事をこなしている。

“調子の良さ”を優先した選手起用

 森保ジャパン発足以来の活動に加えて、今回の試合も含めた合宿の内容を見て、本大会に臨む26名を選ぶことになる。しかしながら、森保監督を大きく悩ませることになるほどのサプライズは起こらなかった。それでも、選手の序列が置き換わる結果は得られたことだろう。  結論から言えば、やはり好調な選手を起用したほうが、良き結果を得られる可能性が高い。アメリカとエクアドルでは相手の戦術も違えば個々の能力も違うので単純比較することはできないが、内容、結果ともにアメリカ戦のほうが良かったのは明らかだ。その大きな要因は、所属クラブで好調を維持する選手から順に先発としてピッチに送り込んだことにある。守田英正、鎌田大地、久保建英らがその例に当たる。一方、不調と言われていた選手は、やはり内容、結果ともに良くないパフォーマンスだった。その代表例が南野拓実、田中碧、柴崎岳だった。  日本代表の現状として言えることのひとつとして、先発に選ばれる11人の選手と控えの選手に大きな差はなく選手層は厚い。コンディションが80%の選手がスタメンとなっても、ベンチに控える選手より良いパフォーマンスを見せられることはない。それほど今の日本代表選手の実力は拮抗している。もちろん、起用選手によって細かい戦術は変更されるのが森保ジャパンなので、相手によって起用したいと思う選手はいるだろう。それでも今回の結果から考えると、細かい戦術を優先した選手起用より、好不調を見極めてより調子の良い選手を起用したほうが良い結果を得られるような気がする。
次のページ
替えがきかない存在になった遠藤航
1
2
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ