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秋ドラマ「コア視聴率」BEST10。業界関係者が本当に評価するのは

コア視聴率のBEST10は?

silent

番組公式ホームページより

①『silent』(フジテレビ、木曜午後10時) コア4・6%/個人全体4・7%/世帯7・9% ②『アトムの童』(TBS、日曜午後9時) コア4・2%/個人全体6・4%/世帯10・4% ③『相棒』(テレビ朝日、水曜午後9時) コア3・1%/個人全体7・7%/世帯13・7% ④『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ、月曜午後9時) コア2・9%/個人全体5・2%/世帯9・1% ⑤『ファーストペンギン!』(日本テレビ、水曜午後10時) コア2・8%/個人全体4・2%/世帯7・3% ⑥『クロサギ』(TBS、金曜午後10時) コア2・6%/個人全体4・1%/世帯7・5% ⑦『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(日本テレビ、土曜午後10時) コア2・4%/個人全体3・3%/世帯6・0% ⑦『エルピス』(フジテレビ系、月曜午後10時) コア2・4%/個人全体3・8%/世帯7・3% ⑨『トラベルナース』(テレビ朝日、木曜9時) コア2・3%/個人全体7・0%/世帯12・6% ⑨『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ、日曜午後10時半) コア2・3%/個人全体2・6%/世帯4・9%  ほかに録画分の視聴率(タイムシフト視聴率)、TVerでの見逃し再生もある。

SNSで話題の『silent』が1位

 1位の『silent』は最新(10月17日~同23日)のタイムシフト個人視聴率もドラマ部門でトップの5.6%。TVerでの見逃し再生の記録も次々と塗り替えている。SNSで話題なのもうなずける。 『silent』が視聴者に広く受け入れられた理由は第1に青春末期の等身大の恋愛をきめ細かく描いているからだろう。奇をてらっていない。それが、かえって新しい。  また、物語をスローテンポと思えるほどゆっくりと展開させ、その分、登場人物たちの心情をじっくりと深く掘り下げている。内面描写の重視。これも功を奏している。古いタイプのラブストーリーは事件や騒動が起こりすぎて、内面描写が二の次になっていた。  高校時代の同級生・戸川湊斗(鈴鹿央士)と付き合っていた主人公・青羽紬(川口春奈)の前に、やはり高校の同級生で元交際相手の佐倉想(Snow Man・目黒蓮)が8年ぶりに現れたとき、想が聴覚障がい者(若年発症型両側性感音難聴)になっていたという特殊性はある。  けれど、想を過度に悲劇の人とせず、紬にも湊斗にも想への行きすぎた同情心を持たせないところが障がい者が登場する過去の多くの作品とは異なる。ごく当然のことなのだが、紬も湊斗も想を対等な存在として描いている。  この作品が東京都聴覚障害連盟などの監修を受けているのは障がいと真摯に向き合おうとする表れなのだろう。ろう者の俳優・江副悟史と那須映里を起用しているところからも制作陣の誠実な姿勢が垣間見える。万一、障がいをラブストーリーに利用したら、視聴者は間違いなく反発した。もう、そんなことが許される時代ではない。 『silent』はコア視聴率が4・6%で個人全体視聴率が4・7%。ほとんど変わらない。視聴者のほぼ全てが13歳から49歳ということになる。事実、この作品は高齢者向とは言い難い。だから世帯視聴率は低い。
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2位〜5位を視聴する層は?
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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