アイドルとファンの恋愛を現役アイドル・NMB48安部若菜が描く
――執筆にあたってNMB48の活動だったり、二次元キャラにガチ恋した自分のことも落とし込みながら書かれたそうですが、実際に誰かに話を聞きに行ったりはしなかったですか?
安部 それはなかったです。でも、あまり知らないグループのオタクのツイッターを読み漁ったりはしてましたね(笑)。“ガチ恋”の定義ってフワフワしてて、「好き!」っていうだけかなと思ったんですけど、ツラさもあるんだなっていうのがすごく印象に残りました。確かに私もアニメのキャラが好き過ぎたときは毎日泣いてたんですよ。
――それはどういう思い?
安部 だって、こんなに好きなのに絶対叶わないじゃないですか。なんで好きになったんやろ……って。そういう推し活の一喜一憂の部分も作品に反映させました。
――ほかにこだわった箇所はありますか。
安部 ファンとしてライブを見に行くシーンです。書いていて楽しかったし、筆が進みました。実際にアイドルのライブを見に行って、そのときの感動をそのままぶつけた感じですね。私もアイドルが好きだから、オタク心理は書いていて楽しかった。
――二人が惹かれ合い、揺れ動いていくシーンは一緒に泣きながら書かれたとか。
安部 実々花とケイタが下北沢のお店で最初に出会うシーンは1番時間がかかりました。やっぱりアイドルがファンに会いにいくってすごいハードルの高いことじゃないですか。どんなことがあったら、その行動に辿り着くんやろうっていうのはずっと考えていましたね。一見、立場が違うように見える二人の間で通じるものを感じ取ってもらえたら嬉しいです。
――実際に大阪だと街中でファンとばったり会うとかも?
安部 全然ありますね。1回地元のスーパーで声を掛けられたことがあります(笑)。油断した格好をしてたのでめっちゃ恥ずかしかったです……。上下ジャージの頭ボサボサで買い物してたら、「安部若菜ちゃんですよね!」って声を掛けられたんで、パニックになりながらアイドルのスイッチを急いで入れました。
――安部さん的にはファンとの恋愛はありですか? なしですか?
安部 最近は「推しと結婚」が流行っていたりするから、憧れはあります。推しとして好きだった存在が、恋人や夫婦になったりするのは素敵なことだと思うし、どうやってそこに至るんやろうっていう興味がありますね。でも自分がファンの人とっていうのは考えたことがなかったです。
――今年でアイドル5年目、年齢も21歳ですもんね。
安部 まだ結婚を考える時期じゃないっていうのもあるんですけど、私がファンの人と知り合う機会があったとしても、幻滅されちゃう気がして逃げちゃうと思います。いつもメンバーから「私服がダサい」って言われるし、昨日も「I‘m Fine!」って書かれた靴下を履いてるのが見つかって総ツッコミされて(笑)。そうなると気も抜けなくなるし、無意識にアイドルのスイッチをずっと入れないといけないのは大変かなって……。
現役アイドルが考えるファンとの恋愛
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