ニュース

「新宿ゴールデン街」で火災発生、景観を変えない“街の防火対策”を聞く

ゴールデン街の防災は?

新宿 ゴールデン街

写真/新宿三光商店街振興組合

 さらに、建て替えなどの対策が進まない背景には、権利の問題もある。  およそ2000坪という狭い土地に300軒近くの店舗がひしめいているが、土地と建物の所有者が、100人以上いるという。  そうなると、一元的に管理して建て替えや整備を行うことが難しい。成瀬氏も「築70年前後の建物が多いため、建て替えを進めたいが、権利関係がややこしいんです。定期的に集まって話をしているが、事態がなかなか進捗しません。現在も模索中です」と頭を悩ませる。  新宿ゴールデン街振興組合のHPによれば、そもそも同地は「1949年に連合国軍総司令部が闇市撤廃を指示するに至り(中略)闇市の各店舗は、代替地として新宿区三光町の一帯に移転することになった」のが始まりとされる。  つまり、所有の区分が明確でない状態から歴史が始まっていることで、はっきりとした所有権の振り分けが現代においても難しい状況にあるようだ。

景観を変えずに防火する

 そうしたこともあって、2016年の火災後、区は新宿ゴールデン街に建て替えの条件として「木造の景観を変えずに、燃えづらい建物を造る」と提示した。  具体策としては「屋根や外壁などには不燃材を使用」「内壁には(燃えにくい)石膏ボードを使用」などだが、成瀬氏は延焼を防ぐ対策も重要だと話す。 「ゴールデン街の建物の多くは、長屋のような構造になっているので、天井裏がつながっているんです。過去の火災でもこの天井裏を通じて火や煙が他の店舗にまで広がりました。そこで現在、天井裏を仕切ることで、火の広がりを防ぐ対策を進めています」    内部の防火対策を強化していくことで、景観を変えずに安全性を高めていく取り組みだ。
次のページ
消防車が入れない街
1
2
3
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ