馬券も、この仮説から逆算して予想することで、的中に近づくはず。つまり、翌年の菊花賞で馬券になりそうなスタミナ型に着目すればいいのです。 　1頭目の注目馬はファントムシーフ。6月の阪神芝1600m戦でデビューすると、大手牧場の評判馬たちを撫で斬り。続く野路菊Sでも好位から危なげない取り口で差し切り連勝を決めています。この時に2馬身差をつけたアリスヴェルデは続くアルテミスSでリバティアイランドとタイム差無しでした。 　父はハービンジャーですから、スタミナ勝負は望むところでしょう。そもそも、ハービンジャー産駒のこの馬が2歳6月のマイル戦で圧勝している事実こそ、この馬の高い潜在能力の証左といえます。 　もちろん、ここを勝ってそのままクラシックの中心に鎮座する可能性も十分ありますが、ハービンジャーらしい不器用さを出して、来春のクラシックは一息、そして菊花賞で復活…そんなストーリーを想定しました。 　もう1頭はドゥラエレーデです。こちらは素質馬が集う宝塚記念デーの阪神芝1800m戦でデビュー。堂々の1番人気に推されたものの5着に敗れ、確勝を期した未勝利戦でも、その後に札幌2歳Sを連勝するドゥーラの後塵を拝します。3戦目のダートで漸く初勝利というプロフィールからは地味な印象を拭えませんが、重賞初挑戦となった東スポ杯2歳Sでは積極的な逃げを打って4着と健闘しました。 　こちらはドゥラメンテ×オルフェーヴルという、いかにもスタミナ豊富な血統で、実際のレース内容をみても、「切れないけどバテない」といった印象。タイプとしては、同じドゥラメンテを父にもつタイトルホルダーに似ています。タイトルホルダー自身はホープフルSでは7番人気4着と僅かに馬券内には届きませんでしたが、この馬はすでに4戦というキャリアを生かして、さらに上の着順を目指せるのではないでしょうか。 　今回は「スタミナが問われる」というレース質から逆算して狙える馬を紹介しました。これを参考にした読者の皆さんの懐が暖かくなることを祈っています。ただ、外れても大丈夫。 「ホープフルがダメでも東京大賞典がある！」 　 文／松山崇馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。