更新日:2023年01月01日 06:15
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初詣に「正しい作法」は無い。お坊さんがぶっちゃけるホントのお参り方法

お参りする前に手を洗ったほうがいい?

手水舎 寺社の入り口に必ずある、手水舎(てみずしゃ・ちょうずしゃ)。やはり参拝の前はここで手を洗うべきなのだろうか? 「もちろん洗ったほうがいいです。手水はケガレを落とすためのものなので、『トイレに行ったら手を洗う』と同じ感覚で考えてください。手が汚れたまま人と握手しないですよね? そういった礼儀は神仏に対しても同じです」  コロナ以前は柄杓を使い、左手→右手→口→左手→柄杓の柄といった作法が共通だった。現在は感染症対策のため、柄杓を外して水を流しっぱなしにしている寺社が多い。  松平さんによると、柄杓を使わない今のほうが古来のやり方に近いという。 「手水は儒教由来の作法なんです。儒教では祭りの前に手を清める風習があり、それが日本に輸入されました。今のように柄杓を使うのは簡略化された形で、もともとは神道・仏教ともに川や海に入ったり、水やお湯を浴びたりして身を清めていたんですよ。ケガレは手だけでなく、全身に帯びているものと考えられていたので。だから昔は、禊(みそぎ)や沐浴といった、水を浴びる方法で祓っていた。それが段々と省略されていき、寺社の前にある川に手足を浸すようになりました」

手水で柄杓を使うようになったのは平安時代から

御手洗川

京都・下鴨神社の境内を流れる御手洗川。古代はこの川で身を清めてから参拝していた

 柄杓が使われるようになったのは、平安時代に入ってから。近くに川が無い寺社には、水をくんだ桶を持参していた。そこから柄杓を使うスタイルが生まれたという。それにともない、現在のような作法も登場した。 「左手から右手に……といった作法は、当時の宮中のマナーや、儒教由来の武士の礼儀作法が反映されています。ただ、沖縄や長崎など、大陸的な文化が後世になって強くなった地域では、やり方が違うこともありますね。寺社によっても『ウチはこうです』と決められていたりする。特に注意書きがないなら、作法にこだわらなくて大丈夫です。仏教に『信は荘厳より起こる(※立派なお堂を見て信仰心が起こるという意味)』という言葉がありますが、作法があるほうが真面目にやりますよね。だから仮で決められているってだけです」
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参拝するときのコツ
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福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0

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