更新日:2023年01月01日 06:15
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初詣に「正しい作法」は無い。お坊さんがぶっちゃけるホントのお参り方法

参拝するときのコツはある?

参拝 いざ参拝のとき、気になるのは神仏へのお願いの仕方だ。近年では「心の中で住所と氏名を唱えてから願い事を言う」なんて言説も出回っているが…… 「そんな作法は存在しません。あれはおそらく、庶民の信仰の中から、祝詞のまね事として生まれたものです。手水と同じで、本来決まったやり方はないんですよ。江戸時代の神職の作法を見ると、『心中祈念』としか書いていません。つまり、心の中でどんな風に念じてもいいんです。だって自分が神様と対話するだけですから。でも型があったほうが納得するし、丁寧にできる。だから人々の間でそういうマナーが作られたんだと思います」

江戸時代には無かった「二礼二拍一礼」

 今では当たり前になっている、神社における「二礼二拍一礼」の参拝法。これも実は、ここ150年ほどで生まれたものだとか。 「二礼二拍一礼ができたのは、明治から大正にかけてです。それ以前は柏手を打つ回数も地域や神社によって異なりましたし、礼や拝(※頭を下げる角度によって呼び方が違う)のやり方なども、現代とは違っていました。神饌(※お供え物のこと)すら、今のかたちとは違うものでした。今のように変化したのは、明治維新がきっかけです。全国の神社を統一化する政策がとられ、それに伴って誰でも簡単にできる今の作法が作られました」  これには、歴史的にもうひとつ重要な理由がある。1871(明治4)年に実施された廃藩置県により、大名たちが治めていた藩が廃され、代わりに府県が置かれた。その結果、職を失う武士が全国にあふれかえることとなる。  同年に社家(※それまで伝統的に神社の祭祀をおこなってきた家)による神職の世襲が禁止されたこともあり、困窮する上位武士たちの就職先として用意されたのが、神社や神職だ。    画一化された作法の登場には、神道儀礼に縁のなかった武士でもまねできるように、という意図もあった。 「あくまで“国民全員で同じことができるように”と作られたものなので、作法に囚われなくても問題ありません。合わせられるなら、合わせたほうがいいと思いますけどね。それよりも大事なのは、どんな状態、格好で参拝するかです。初詣に行く日は、お風呂に入って清潔にする。性行為をしたまま行かない。ケガレがどうとかより、神仏に対する礼儀です。会社の面接に行くと考えてもらえば分かりやすいでしょう。面接に行く前に入浴したりメイクしたり、髭を剃ったりしますよね。パジャマのまま行ったりもしないでしょう? そうやって目上の人に対する行動には気を付けるのですから、人より偉い神仏にどのような姿で臨めばよいか、分かりますよね。神仏にお願い事をしに行くなら、ちゃんとしないと」
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お坊さんがしてほしくない行為
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福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0

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