更新日:2023年01月01日 06:08
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初詣に行くならココ。お坊さんが教える3つの場所

鉄道の開業により初詣が生まれる

東京名勝之内

玉英,上野元黒門町十二番地 出板人 山本利兵衛 山本 利兵衛 『「東京名勝之内」「高輪鉄道」』(Nationaal Museum van Wereldculturen (Rijksmuseum Volkenkunde, Leiden)所蔵

 1872(明治5)年、新橋〜横浜間に日本で最初の鉄道が開業する。それを皮切りに日本各地に鉄道路線が敷かれ、交通網が発展していった。遠くの寺社へアクセスしやすくなったことにより、気軽に恵方参りができるようになったのだ。  そして明治の中頃になると、方角が毎年変わる恵方参りではなく、方角に関係ない初詣という言葉が登場する。 「それに目を付けたのが鉄道各社です。自社路線を使ってもらおうと、初詣を宣伝のうたい文句にした。大正になると大晦日の深夜運行も始まり、初詣が一気に定着していきました。この頃から昭和30年代くらいまで、大規模な鉄道会社がこぞってお寺を造るようになったんですよ。目的はもちろん、参詣の乗車客を呼び込むためです」  鉄道各社が寄進した寺の一例に、西武鉄道の狭山不動尊(埼玉県)や、京阪電鉄の成田山不動尊(大阪府)、名古屋鉄道の犬山成田山(愛知県)がある。  こうした各社のプロモーション合戦により、現在の初詣は形成されていった。当時の人々にとって初詣は、新年の観光旅行を兼ねた娯楽でもあったという。 「もし三が日までにお参りできなくても、現代なら節分までに行けばいいです。早く『行ける』のに『行かない』のはダメですけど……」

初詣で参拝すべき3つの神社

初詣 決まりがなく自由な初詣。とはいえ、「参拝したほうがいい」神社があるのだとか。 「神様って、本来は関係ある人が拝むものでした。人間には自分と関わりのある神様が3種類いるんです。氏神、産土神(うぶすなかみ)、鎮守神です。初詣は、この神様たちを祀っている神社に行くとよいです」  氏神をごく簡単に説明すると、一族を守護する神様だ。場合によっては、自分の先祖が氏神になったり、先祖が祀った神様が氏神になったりする。「自分の血でつながる神様」と考えればよいだろう。  では、産土神と鎮守神とはどのような神様なのか。 「産土神は自分が生まれた土地の神様です。鎮守神は、自分が住んでいる地域の神様。昔は同じ村や町で一生を終えることがほとんどだったので、氏神と産土神と鎮守神は同じでした。でも現代では、生まれた場所を定義するのが難しいですよね。お母さんが里帰りして産むこともあるので。その場合、子供の頃に長く暮らした地域の神様が、自分の産土神様になります」
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三社参りができないときは?
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福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0

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