更新日:2023年01月11日 18:07
エンタメ

年末年始番組「コア視聴率」ベスト10。テレビ業界の現状が浮き彫りに

正反対の歌番組、軍配が上がったのは?

番組公式HPより

『レコード大賞』(TBS)のコア視聴率は『発表!今年イチバン聴いた歌』(日本テレビ)をかろうじて上回り、関係者は安堵したはず。『レコ大』は日本作曲家協会が主催し、音楽評論家や新聞の音楽記者たちの選考委員が受賞曲を選ぶ。片や『今年イチバン聴いた歌』はデータ主義。正反対の性格を持つ番組だからである。 『レコ大』は1959年の発足時から売り上げなどではなく、作品の質で決めることになっている。『レコ大』を売り上げで決めるようになったら、その時点で存在意義は消滅する。ヒットチャートの順番で賞を機械的に決めてしまえばいいからだ。  一方、『今年イチバン聴いた歌』はデータ主義。サブスクで2022年に聴かれた曲を中心に構成された。『レコ大』のアンチテーゼとも言える。日テレは来年以降もこの番組を年の瀬に放送するようだ。  これから先、視聴者はどちらの音楽番組に高い評価を与えるのか。音楽のプロによる選考か、データか。興味深い。

GACKTの連勝記録が強みの格付けチェック

『芸能人格付けチェック!』は相変わらず強い。正月は家族や友人と一緒にテレビを観る機会が増えるが、そんなときに観るのに向いているところも高視聴率に結びついている。少しくらい雑談しながら観ても置いてけぼりを食わない内容だからである。ドラマやお笑いのネタが披露されるバラエティでは、そうはいかない。  GACKTの連勝も金看板と化した。半面、連勝が71にまで伸びたので、かつての白鵬(37)の63連勝時などと同じく、「勝ち続けて欲しい気持ちもあるが、そろそろ負けるところも観たい」という微妙な状態になってきた。番組側には「GACKTを本気で倒そうしているのか」というプレッシャーがかかり始めるだろう。  ほかに『とんねるずのスポーツ王』(テレ朝)と『アメトーーク!SP』(同)、『ぐるナイSP』(日テレ)、『月曜から夜ふかしSP』(同)、『VS魂SP』(フジテレビ)がベストテン入り。 ここで気づく。年末・年始で高いコア視聴率を得たのは毎年おなじみの定番番組と人気レギュラー番組の拡大版ばかりなのだ。  慣れ親しんだ番組を観たいからか、それしか観るものがないからか。おそらく、どちらも当てはまる。後者のほうが強いのではないだろうか。  はっきり言えるのは「衝撃映像」を売り物にする番組と「クイズ」の衰退。どの番組も惨敗か低調だった。 「衝撃映像」は似たような映像が多いし、どんな状況で撮られた映像なのか背景が分からないこともマイナス。海外映像はやらせかどうか確認できない。「クイズ」はやり過ぎに尽きる。
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大晦日の民放各局の視聴率は?
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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