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窪塚洋介43歳が語る“人生一発逆転”の道「一番大事なのはマインドセット」

窪塚洋介(43)

俳優として18年ぶりの邦画長編単独主演作『Sin Clock』にのぞんだ窪塚洋介(43)

「実はすごく深遠なメッセージが含まれているんです」  稀有な空気感をまとって走り続ける俳優・窪塚洋介(43)が、『同じ月を見ている』(2005)以来、18年ぶりの邦画長編映画単独主演を飾った映画『Sin Clock』が公開中。  会社を解雇され、家庭からも見放された“どん底状態”のタクシードライバーが、あるとき、巨額のカネに化けうる絵画の存在を知り、人生一発逆転を目指して同僚たちと絵画強奪計画に挑むクライムサスペンスだ。
Sin Clock

(C) 2022映画「Sin Clock」製作委員会

 思い起こすのは、2004年に自身が経験した「転落事故」——。  自宅マンションの9階から落ちた衝撃で、頭蓋骨開放骨折などの重症を負った。その後は「卍LINE」名義でレゲエDeeJayとしても活動するなど、再起の道を模索してきた。窪塚は、生きる目的を見つけて進み始める主人公のシンジを追体験し、(本作はきっかけこそ犯罪だが)「一番大事なのはマインドセット」だと改めて感じたという。 「ひとつひとつ、間違ったり、失敗したりしながら、それでも軌道修正して、なんとか自分の進みたい方向に向かえるように、少しずつでも自分を持っていけたらいい」  紆余曲折ありながら、俳優として“18年ぶり主演”にのぞんだ窪塚の心境とは!?

18年ぶりの主演は宣伝中に気づいた

Sin Clock

(C) 2022映画「Sin Clock」製作委員会

——宣伝的に、“18年ぶりの邦画長編映画単独主演作”とついて回りますが、ご本人は意識されますか? 本作が、牧賢治監督による窪塚さんへの“あて書き”(※あらかじめ演じる俳優を決めてから脚本を書くこと)という点への感想を含めて教えてください。 窪塚洋介(以下、窪塚):ほかの情報は一切ない状態で、脚本とだけ向かい合って読み、月並みな言い方になりますけど、すごく面白かったんです。シンクロニシティというテーマと、最後に待つ大どんでん返し。これをリアリティを持って描けたら、今までにない映画ができるんじゃないかなと感じて「やります」と返事をしました。
Sin Clock

(C) 2022映画「Sin Clock」製作委員会

 18年ぶりという点に関しては、撮影している最中はわからなかったので、まったく意識していませんでした。周りも誰も言わなかったんですよ。宣伝を始めるときになってわかって。「あ、そうなのか」と(笑)。割と強めのパンチラインになるから推してる言葉だと思うんですけど。  あと、単独って言われるけど、この映画は、ずっこけ3人組が強奪計画を実行する話なんで。単独という意識はさらに無かったですね。 ——あて書きに関しては。 窪塚:言われたのかな? そこは覚えてないんですけど、面白い脚本なので、あててもあててくれてなくても、関係ないですね。ただ特に前半部分のシンジが、自分自身とはかけ離れた感覚の人物なので、あて書きと言われても、ピンと来なかったかもしれないです。「俺はこんなんじゃねえ!」みたいな(笑)。

マインドセットの時点で、一発逆転の種は植えられている

Sin Clock

(C) 2022映画「Sin Clock」製作委員会

——ポスターなどのビジュアルでは、本作でもかっこいい窪塚さんが映っていますが、確かに、本編では普段のかっこいい窪塚さんとは違った顔が見られる作品です。そして、その前半の停滞感があるから、後半が効く。 窪塚:蓋開けてみたら脚本の時が一番面白かったみたいなこともありますけど、手前みそですが、この映画は映像になってより面白くなったと思うし、具体的に脚本の世界を体現できたんじゃないかなと思っています。伏線の回収とか、強奪計画の計画自体もやっぱり映像で観るほうが分かりやすいし。
Sin Clock

(C) 2022映画「Sin Clock」製作委員会

 前半、思った以上に緩いというか、くすんだ、よどんだ空気が長いかなと思うかもしれないけど、後半に入ると勢いが出てくるので、そこへのフリだと思って観てもらえたら。  シンジも鬱屈としているところから、きっかけは犯罪ではあるけれど、前に進んで、映画自体も疾走感が出てきます。これって実はすごく深遠なメッセージが含まれていると思うんです。この映画では一発逆転で、何十億のカネを握るかもしれないってところに懸けているけれど、とにかくそこに取り組むためにはマインドセットが一番大事。それをやろうと決めたときに、一発逆転の種はすでに植えられてるんですよね。まあ、それが願わくは犯罪ではないほうがいいけれど。
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間違ったり、失敗しながら、方向を決めていく
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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【公開情報】
映画『Sin Clock』は全国公開中

配給:アスミック・エース
2023年/日本/94分/カラー/シネスコ/5.1ch

公式Twitter:@SinClock_movie
公式Instagram:@sinclock_movie
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