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「戦時下のウクライナ」旅行作家が見た日常。現地では観光ツアーも

ウクライナ人はめちゃくちゃ怒ってる

電車内

ルーマニアからブルガリアまでの電車内

——現地の人の戦争やロシアに対する意識ってどんな感じでしたか? :自分が片っ端から人に聞いたりしたわけじゃないけど、報道取材している新聞記者の人の話では、ウクライナ人はめちゃくちゃ怒ってるみたい。そりゃ怒るよね、身内の知っている人が殺されたり、戦争に行ったり、自分の住んだ家が破壊されたりしているわけだから。俺もリビウでデモを見たけど、すごい熱気でしたよ。 和平を結んだ方がいいのかもしれないなんて冷静に考えている人はほとんどいないですよ。国民調査でも80%ぐらいは和平に反対してますからね。ここで区切って和平条約を結んでも、ロシアはまた戦力を整えて攻めてくるっていうのがみんなわかっているんですよ。 ——嵐さんは以前に『おそロシアに行ってきた』(彩図社)というロシアの旅行記も出されていて、ロシアという国自体は好きだったんですよね。だからこそ、今回のウクライナ侵攻はショックだったんじゃないですか? :そうなんですよ。あの本を読んだ方から「ロシア観光の参考になりました」とか、いろいろありがたい言葉を頂いたり、どこかの媒体でも「ロシアに行くならどこがおすすめですか?」とか聞かれたりしていた。 だから、今回の件で本当にショックを受けたし、裏切られた気分でした。俺と一緒にロシアに行ったチャンピー(嵐氏の旅行仲間のカメラマン)なんて、プーチンを許せなくて、お土産で買ったプーチンのTシャツを捨てたって言ってた。

「簡単な気持ちでは行かない方がいい」

——嵐さんのお話だけを聞いていると「ウクライナっていま行っても大丈夫なんだ。それなら行ってみようかな」って思う人もいるかもしれないですよね。でも、嵐さんは事前にいろいろ調べたりもしているし、海外旅行にも慣れているし、リスクがあることをわかった上で仕事として行っているわけじゃないですか。普通の日本人が軽い気持ちでウクライナに行くのは危ないですよね。 :もちろんそうです。突然国境が封鎖される可能性もあるし、何があるかはわからないので。こっちはそれも覚悟して行っているから、簡単な気持ちでは行かない方がいいとは伝えたいです。やめた方がいいって俺が言うのもおかしいんだけど、リスクはあるっていうことです。 <取材・文/ラリー遠田>
お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで
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