生き別れた父を探してイタリアに。ハーフ芸人・武内剛が語る「“芸人村”のご法度に挑んだ」ワケ
カメルーン人と日本人の両親から生まれた「ハーフ芸人」として活動しているぶらっくさむらい氏(@50takeuchi)が、本名の「武内剛(たけうち・ごう)」名義で映画『パドレ・プロジェクト』を製作した。
2歳のときに一度会っただけのカメルーン人の父親を捜すために、自身がイタリアのミラノに行った過程を描いたドキュメンタリー作品である。芸人として活動していた彼が映画を作ることにしたのはなぜなのか? 本人に話を聞いてみた。
――今回の映画を作ろうと思ったきっかけは何ですか?
ぶらっくさむらい(以下、ぶらさむ):子供の頃から父親のことはずっと心の中にあったんです。ただ、会いに行くとなると、海外だから結構ハードルが高いじゃないですか。連絡先もわからないし、手がかりは写真しかなかったんです。
でも、新型コロナが広まって、イタリアがヨーロッパの中で最初に医療崩壊を起こして、大勢の人が亡くなったっていうニュースを見て、考えが変わったんです。父親も60代後半だから、会うとしたら今がラストチャンスかもしれないと思って会いに行くことにしました。
最初はYouTubeの企画でちょっとゆるい感じでやろうと思っていたんですけど、その話をYouTubeで公開したらテレビのプロデューサーの方から連絡が来て。特番の企画としてやりませんか、と誘われたんです。でも、場所がイタリアだったので、当時はコロナで海外ロケが難しいということもあって、企画が流れちゃったんです。
そのぐらいから、じゃあ自分で映画を撮ろうかな、と思って、クラファン(クラウドファンディング)で製作費を集めることにしました。
――それで実際にイタリアのミラノに行ったわけですが、その時点では本当に会えるかどうかはわからなかったんですよね?
ぶらさむ:わかんなかったですね。そこは僕もちょっとなめてたんです。行く前にある程度調べておいて、コンタクトを取っておくのが本来のやり方だと思うんですよ。でも、監督の血が騒ぎまして、それはちょっと面白くないな、と思って。あえてあんまり調べずに行きました。だから結構苦労しましたね。
ミラノが人口140万人ぐらいの大都市なので、そこで1人の男を捜索するって相当難しいんですよね。父親と母親が結婚すらしてないんで、公的な書類も全く残ってなくて。母親も認知症になっていて父親の手がかりが全くない状態だったんです。
父親のことはずっと心の中にあった
140万人都市で1人の男を捜索する
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