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河合優実(22歳)、初主演で“一発本番”提案「もっと本音で話したら早いのに」

周りからもらったイメージを膨らませて作っていった役

河合優実――本作に登場したキャラクターのなかで、男女問わず、一番共感しやすかったのは誰ですか? 河合:みんなそれぞれに、自分の中にある部分を持っています。逆に、まなみを理解するほうが難しかったですね。彼女の経験したことは、私に重ねられる部分がなかったので。どんな気持ちの役であっても、どうにか自分の中から探し出すことが多いのですが、高校生の時にこうした経験をしているというのは、どうにも難しいことだったので、原作や、監督のお話、彼氏役を演じた窪塚愛流くんから受けた印象といった、自分の中からというより、周りからもらったイメージを膨らませて埋めていく作業をしていった感じでした。 ――まなみは、調理室に通っていましたが、河合さんが学校で好きだった場所や空間はありますか? 河合:学生時代は、ずっとダンスをやっていました。5階建ての校舎の一番上に、太陽光が入る広場のようなところがあったんです。屋上でも体育館でもないのですが、運動ができる場所で、そこにみんなで鏡をばーっと並べて置いて、ダンスをしていました。お昼もそこでみんなでご飯を食べて。私の居場所でした。引退してからも、お昼を食べに行ったり。何かというとそこに行ってました。

ニューヨークに行って自分の中の新しいゾーンに入った

――前回、田中泯さんの主演映画『名付けようのない踊り』の作品そのものにも、そのタイトルにも感銘を受けたとお話されていました。その後、新たに感銘を受けたものはありますか? 河合:去年仕事でニューヨークに行ったのですが、そこで過ごした際、みんな総じて精神性が全く違っていて衝撃を受けました。アテンドしてくれた知り合いのおじいちゃんおばあちゃん、知り合いを通じて話した街の人たちなど、みんなとにかく自由。海外というより、ニューヨーク特有なのかなという気もしました。 ――というと? 河合:とにかくいろんな人種の人がいるんですよね。そしてめちゃくちゃ都会。だから他人は他人、自分は自分というドライな感じもあって、それが嫌だという人もいると思うんです。実際、ホームレスが多いといった社会問題もありますし。隣に住んでいる人のことを知らないとか。本当にバラバラに生きている。でも、一度話しかけて触れ合ったら、一気に壁がなくなって、すっごく温かいんです。なんだか日本と逆な感じがしました。 ――日本と逆。 私たちって、周りのことを見ているし、気にしてますよね。外国人の方は、日本に来ると、すごくジロジロ周りを見ているといってビックリするそうです。それなのに実際に知らない人同士で触れ合うことがあると、他人行儀で壁を作ったりしますよね。そうした環境に知らずと慣れていたので、ニューヨークの自由さは今までに経験したことのない感覚で、自分の中の新しいゾーンに入った感じでした。
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日本はホンネ以外で回ってる?
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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