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「仕事量は倍で給料は半分」“キー局全滅男性”が明かす地方局の残酷な現状

 かつては、華やかな職業として注目を集めていたテレビ局員。現在では、われわれがよく知る東京に本社のある「キー局」はまだしも、「地方局」は新卒の入社志願者も少なく中途採用を頻繁に行っている局もあるほどだ。過酷な労働環境がメディアで紹介されていることもあり、学生たちからの人気はあまり高くないようだ。
テレビマン

画像はイメージです

 今回、匿名を条件に地方局の内情を教えてくれたのは、東京都出身の益田慎吾さん(仮名・28歳)。テレビ局スタッフとして、過疎化の進む某県にある地方局に6年間勤務している。番組を作ることにあこがれ、念願のテレビ局に入社したものの、そこには厳しい現実が待っていたという。

キー局に全滅し、地方局の道へ

「就職活動の時に、キー局はすべて受けたのですがどこも不採用でした。制作会社も考えたのですが、安月給でこき使われると聞いていたので、地方局もいくつか受けてみたんです。なんとか入りこめたのが、いま務めているテレビ局でした」  地方局とはいえ、念願のテレビマンになれた益田さん。しかし、入社早々に厳しい現実を突きつけられることになる。 「はじめに配属されたのは、ローカルニュースを取り扱う報道部でした。正直、ニュースなんてスマホで見ていたので、テレビで見たことがなかった。しかも、地方のネタだけを扱う番組なのに、東京出身なので全くその土地の事情もわからない。まさに右も左も分からない状況で、毎日罵声を浴びながらVTRを作る日々を送ることになりました」

人が足りず、猛烈に働くことに

 一般的には、アナウンサー、記者、カメラ、編集者が分担して番組を作るところだが、益田さんの入社した地方局は経費削減で人員不足。おのずと担当する仕事もキー局とは比べ物にならないほど多かったという。 「記者はカメラを兼任することが多く、ENGと呼ばれる業務用の高価なカメラを担いで取材に行く。カメラの技術があるわけではないので、肝心なものを撮り忘れることも多かった。しかも、ペン取材もするので2倍労力がかかる。撮影した映像を編集するところまでやらされ……。まさに激務で、面接の時に聞いていた状況とは全く違いました」
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気の休まる瞬間がない2年間
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1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

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