更新日:2023年03月31日 19:46
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脂肪がどんどんたまる“メタボ炎症”の恐怖。「最近、痩せにくくなった」は危険信号?

厄介なメタボ炎症、日常からできる対策とは?

階段

意識的に日常に運動を取り入れたい

 真綿で首をしめるように体を蝕み、痩せにくい体を作るメタボ炎症。根本的な対策にはかなり気合いの入ったトレーニングが必要に思えるが…。 「つらい運動は必要ありません。ハードルを下げて日常生活の中で長く続けられる方法論を自分で作ることがオススメです。体温を上げる動きを増やすNEAT(Non-Exercise-Activity Thermogenesis)がよいでしょう。駅のホームまでエスカレーターを使わずに階段を使う。駅まで歩くことにして電車内ですぐに座らず立っことにするする。別フロアへの連絡に社内メールではなく会談を使ってメモを渡しに行くといったものです。テレビを見るときにはカウチポテトをやめて、足踏みやスクワットを時々するも良いでしょう。意識的に動く習慣を日々心がけることが大切です。年をとってもあまり代謝自体はそれほど落ちないことが知られるようになりました。人間は加齢によって子供や若いころより「ものぐさ」になり動かなくなることが問題だと考えられています。健康寿命に必要な心肺機能と筋力維持には日々”まめに体を動かす”ことが大切です」  軽い運動とともに適切な食事が重要になる。まずは規則正しい生活を心がけることがメタボ炎症を抑える対策になるという。 「人間は起きている時には食事からエネルギーを生み出して活動し、夜は睡眠をとり体を休ませ修復するような睡眠覚醒のリズムを持っています。この”概日リズム”にあった食習慣を意識するとよいでしょう。朝は昼間の血糖値が上がりすぎないように食物繊維が含まれたものをとり、活動的な昼食は炭水化物や脂質を多めにしてエネルギーを確保。夜は炭水化物や脂質を少なめにして体の修復に役立つたんぱく質を多めに選ぶ、といったものです。腸からもメタボ炎症を抑えるホルモンが分泌されますから、腸内細菌のエサとなり腸内環境を整える野菜やキノコ、海藻など食物繊維が含まれる食事はとても重要です」

メタボ炎症対策に腸内細菌を整える

 腸内細菌のエサになり有用な物質を作り出す食物繊維をとりつつ善玉菌が含まれるヨーグルトや漬物、納豆などの発酵食品も積極的にとっていきたい。 「腸は神経細胞や免疫細胞も多く集まっている臓器で、食べ物を消化吸収するだけでなく食欲を調節する信号を脳へ出したり、膵臓に働きかけてインスリン分泌をうながすホルモンを分泌します。人間は自分の細胞の数をはるかに超える数の細菌を腸内に住まわせています。自分の細胞数を超える腸内細菌と人間は共存して暮らしているのです。腸内細菌を整えて腸内環境を良くすると腸が出す指令を良い方向へ変化させることが知られています。納豆や漬物、ヨーグルトなど腸内細菌を整えるものを定期的に取るとよいでしょう。ヨーグルトの中には体脂肪の蓄積を軽減させたりメタボ炎症をおさえる乳酸菌が入ったものもあります。食事を整え運動をしつつ、腸内環境を整えることにしましょう」  適度な運動と食習慣の見直しでメタボ炎症を改善させて体調を整えていくことにしよう。
大和田潔 医師

大和田潔(あきはばら駅クリニック)総合内科専門医、神経内科専門医、東京医科歯科大学臨床教授、日本臨床栄養協会理事

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