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玉城ティナ25歳、惹かれるのは“危うい”タイプ?「自分を常に探している」

本編を観て「ちふゆだ!」と感激

玉城ティナ――出来上がった作品をご覧になって、特に気になった場面はありますか? 玉城:趣里さんが演じた“猫のような目をした”風俗嬢・ちふゆのシーンはほとんどですね。脚本でしか読ませていただいていなかったので、出来上がった作品を観たときに、ある意味、漫画以上の妖艶さと、でも少女っぽさや素直さみたいなものもあって、「ちふゆだ!」と感激しました。それと地元に帰って、風俗嬢のちふゆから、等身大のちふゆになった時の落差みたいなものも面白かったですし、深澤先生の漫画家としてのパートも面白かったです。もう全体ですね(笑)。 ――主人公の深澤を見て、特に感じたことはありますか? 玉城:深澤さんの、才能があるがゆえのプライドから来る苦しみは、見ていてもちろん苦しかったですし、それでも諦めないで、自分がどこに行きたいのかを常に探している人だと感じました。私はそうした人が好きです。自分がいる場所に常に納得して、地に足がつきまくっている人よりも、このくらい危うい人のほうが惹かれますね。猫顔の少女もそうだったのかなと。  深澤さんの、自分の才能に気づいていながらも、ずっと枯渇して何かを求めている感じとか。大人になってくると、自分を納得させる理由を見つけないと日々を過ごしていけないので、傷つきやすいままに大人になるというのは、覚悟がいるなと思いました。

出来上がった画に映るものがすべて

零落

(C) 2023 浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会

――深澤は漫画家ですが、玉城さんが表現者・創作者として感じたものはありますか? 玉城:俳優という仕事は、感受性が豊かじゃないといけないとか、繊細じゃないといけないとか、そうしたイメージがあると思います。実際、そういう人もいると思いますが、私は、出来上がった画に映るものがすべてだと思っているんです。だから実際はどっちでもいいと思うんです。繊細じゃなくても繊細なふりができればいい。  出来上がった作品に対しての忠誠心があるならば、仕事として成立すれば、そのほうが健康だと思います。どうしても人の意見や視線にさらされる仕事なので、それを100%受け取っていると自分がなくなってしまいますし。
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ホンネのままに生きている
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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