更新日:2023年04月12日 15:44
スポーツ

次期WBC「イチロー監督」は実現するのか。キーマンはダルビッシュ有

個性を生かすチーム作りは継続すべき

 一方、ダルビッシュはチームへの最後の挨拶で、「3年後も金メダルを取りにいきましょう」と選手たちに呼びかけている。これには連覇をしようという想いと、みんなそれまでに成長して選ばれるような選手になろうという意味も含んでいると推察するが、世間が気になるのは今後の代表チームの動きだろう。  国際Aマッチーデーなどがあり定期的に活動するサッカーとは違い、活動が少ない野球のナショナルチームは姿が見えにくいところがある。監督の人選にしても、どうやって決まったのかがよくわからない。それは他国を見てもそれほど変わった感じでもなく、往年のスーパースターが監督やコーチをやっていたり、現役選手がGM(ゼネラルマネージャー)をやっているというケースもある。比較的リラックスして、監督選考を行えるのはややもすると野球のいいところかもしれない。  ただ、一つ忘れてはいけないのは、今回の栗山監督が作り出した空気は継続していきたいというところだ。選手ファーストであり、個性を重視する指揮官であることは今度の代表チームを指揮する指揮官の人選には大事してもらいたい。また、決勝戦の継投がそうであったように、世界の野球事情に敏感なマインドの持ち主であることも重要だ。

次の監督は誰が適任なのか?

 報道などでは、古田敦也氏や原辰徳氏、工藤公康氏などが挙げられているが、実際に適任者は誰なのだろうか。  こういった報道でよく耳に入ってくるのが、テレビ局の意向が反映されるなどの風説だ。正直、そういった決勝戦の中継をしたテレビ朝日のキャスターだった栗山監督や東京五輪の監督になった稲葉篤紀氏にはそういう経緯があると言う人もいるが、情報に興味がない筆者はそんな夢のない話は議論の対象としてはいない。極力、代表監督の選出はクリーンに進めてもらいたいものだ。  今回の栗山監督が生み出した空気を踏襲する意味では、やはり慎重な人選が迫られるが、たくさんのヒントをもらったのも事実だ。  たとえば、ダルビッシュの存在。パドレスと6年契約を結んでいるだけに、3年後も第一線で戦っているはずだ。しかし、コンディションの問題でどこまで参加に前向きになってくれるかわからない。とはいえ、ダルビッシュの存在は不可欠だ。
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ダルビッシュが「選手兼GM」になれば…
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新聞社勤務を経て、2003年にフリージャーナリストとして活動開始。『Number』(文藝春秋)、『slugger』(日本スポーツ企画)などの紙媒体のほか、WEBでも連載を持ち、甲子園大会は21年連続、日本シリーズは6年連続、WBCは3大会連続で取材している。2018年8月に上梓した「甲子園という病」(新潮新書)が話題に。2019年には「メジャーをかなえた雄星ノート」(文藝春秋)の構成を担当。 Twitter:@daikon_no_ken

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