しかし、そんな王者の気の緩みか、得意のカットソーでも今年は大失敗作を生み出してしまいました。 　それがJWアンダーソンとのコラボモデル。トリミングや切り替えデザインとトレンドを取り入れ、さらにそれを業界でもっとも得意であろうロエベのデザイナー(ロエベは切り替えデザインなど大得意)に任せた一作。しかし、できあがったものはどう見ても体操着……。 　前衛的すぎるJWアンダーソンのデザインが裏目に出たか、保守的な日本のメンズファッション市場でこれを選ぶ人が多いとは思えません。オフホワイトカラーは切り替えデザインがさほど目立たず普通に使えますが、ブルーカラーなどはネックが緑、ボディがブルー、袖がグレーとかなり大胆。 　加えてシルエットもトレンドのオーバーサイズではなく、なんだか子供っぽい中途半端なサイジング。素材のよさだけは逸品で、驚くほどの滑らかさと肌触りのよさがあるので着用感を求める「実用品」としてはレベルが高いアイテム。しかし、これで1990円はちょっと高い気も……。 　上級者が遊びとして使うならともかく、パッと手に取っておしゃれになる人はおそらくいない。これは売れてないんじゃないかな……実際、発売からしばらく経つし、人気の高いコラボ品なのにカスタマーレビュー数はたったの2件。 　1990円という値段の高さも相まって間違いなく、セール特価品行きコース。この夏の大外れアイテムと言えるでしょう。