更新日:2023年05月26日 19:04
ライフ

梅雨、台風、キャンプ、あらゆるシーンで活躍する“奇跡の一足”とは?

革とソールもすごい。メンテナンスフリーで長持ちの秘密

ダナーシューツリー

メンテナンスはツリーを入れるだけ。筆者私物

靴をよく見ていくと、革はフルグレインのオイルレザーを使用しています。牛一頭からわずかしかとれない極厚の希少部位で、とにかくタフ。賛否両論でしょうが、靴磨きが趣味の私がこの靴だけはあえてメンテナンスしていません。汚れたら靴を履いたまま水道で洗い流すだけ。4年間でクリームを使ったのも数えるほどです。革は過保護に扱うと良さが生きません。傷も多数つきますが、いい味になります。まさにブーツを育ててる感覚。デニムに近い存在です。 アッパーのナイロンは軽量化と蒸れ対策ですが、これもタフのひとこと。高価な「ライト」には軍用で知られる米・コーデュラ社の製品が使われていますが、「フィールド」はコーデュラではありません。ダナーに聞いたところコーデュラと同等の1000デニールのナイロンを採用することでコストを削減し、かつ同等のクオリティを実現しているとのこと。 また、目立ちづらいところでは靴紐も頑丈です。ブーツなので履くたびに紐を結ぶ・解くの繰り返しがありますが、4年以上履いたにもかかわらずノーダメージ。これがドレス寄りのブーツであれば、同じ頻度で履けば2か月程度の寿命となり、これが普通です。紐を通すのは「ライト」の足首回りがフックに対し「フィールド」はハトメが採用されていますが、これもまた正解です。フックは、緊急時用の設計ではあるのですが、すぐに紐が外れてしまうのが不満でした。しかし、ハトメが採用されたことでストレスは格段に減りました。
ダナーソール

4年以上履いてなおこの状態。もちろん未リペア

ソールは「ライト」とかわらずビブラム社製。元リペア屋として断言しますが、靴とこのソールの相性は最高です。質もいいし、ヒールだけでも全体でも何回でも直せます。ヒールだけのリペアなら安価で済みますし、さらに本音を言ってしまえばヒールすら修理するまでに数年以上かかるでしょう。 ミッドソールに使われている「ネオプレン」は、サーファーのウェットスーツに使われる材料ですが、衝撃吸収と柔軟性が優れているので、着地の瞬間もう足の裏全体に体重が散るので引きずりません。スニーカーのようなただのEVAやウレタンのような発泡スポンジとは異なり、クッションがヘタれず、4年以上たった今でも感触は新品のときとかわりません。コストのことを考えれば誰も気が付かないミッドソールを安価なものに変えるはずなのに、このプライドには恐れ入ります。
次のページ
あらゆる天候に対応し365日使える
1
2
3
4
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ