お金

借金500万円男。投資3000円の宝くじで「まさかの当選」を勝ち取る――大反響・総合トップ10

3億円を手に入れるなら800円のコーヒーは安い

 再会の日は2022年も少し馴染んできた1月の中頃だった。年末ジャンボの番号はとっくに発表されていたが、まだ確認はしていなかった。二人揃って億万長者になる伝説の瞬間。その鮮度を保っていたのだ。  僕が3億で彼が6億。宝くじの事を四六時中考えていたわけではないが、ふと思い出す度に「あれ、血縁者同士以外での連名って大丈夫だっけ」とか「もしそうなら贈与税かかっちゃうかもしれないな」と悩んで調べたりすることはあった。ちなみに受け取り時点で人数と割合の申告ができて、配分も決めた上で全員が当選者の立場になるらしい。  集合時間の1時間前に着いて喫茶店で時間を潰していた。所持金が1000円しかなかったが、1時間後に3億円を手に入れる僕にとっては水道水のようなものだったので、800円の高いコーヒーを頼んだ。  友達が合流する。7億の男に手を振った。 「持ってきた?」 「ありますよありますよ」  喫茶店で当選番号を確認するのはスリリングだった。たとえ日本と言えど、目の前の人間が無防備に10億円の紙切れを持っているとわかったらおかしくなってしまう人がいるかもしれない。そうなった時にすぐ店外に逃げられるように、出入り口に一番近い席に座っておいた。

トランプのカードをめくるように……

「3連バラはね、絞れるんだよ」  絞る、とは僕たちの間ではトランプに対して使う用語で、カードを端の方からめくり、マークの数を少しずつ明らかにする見方のことだ。例えばトランプを横からめくった時、6と7と8はどちらも3つのマークが見える。その後中央にいくつマークがあるかでカードの数字を確定させるのだ。  彼はカジノ仲間だった。彼が公務員になる前、よく一緒に海外に遊びに行っていた。当時の煌びやかな思い出が蘇る。  競馬にしても宝くじにしても、買い方は腐るほどある。だがレースの楽しみ方を教えてくれる人はそれほど多くない。損得だけが全てになり、ギャンブルの矜持を失った人間たちの方が声が大きい。 「それは、バカラのように楽しめるって認識でいいのか?」 「まさしく」  3連バラとは、適当なくじと、その前後2枚をセットで買う買い方だ。つまり、1等がピンポイントで当たった場合、その前後賞もセットで取れるというわけだ。今回は3連バラを10枚、つまりバラバラな宝くじ10枚と、その前後の数字が2枚ずつ、合計30枚を買った。 「順番に見ていこうぜ、意味がわかるから」  宝くじの封筒を破る音を聞いてヨダレが出そうになった。
次のページ
果たして宝くじの結果は……
1
2
3
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ