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2023年春ドラマ「コア視聴率」BEST3。テレビマンが泣き笑う“CM売上高への影響”も考察する

TVerによる収益の割合は?

 また、TVerが各局の新たな収益の核になったと考えている向きもあるようだが、それは誤解。日テレの2022年度第3四半期までの場合、TVerなど無料動画の広告売上高は35億9200万円で、CM売上高の約47分の1に過ぎない。ドラマが売り物のフジも同じ。同じ時期の無料動画の広告売上高は36億4100万円で、CM売上高の約38分の1。そもそもTVerは「無料配信動画サービス」であり、最初から高額の利益が上がる仕組みになっていない。  また、TVerのお気に入り登録数がドラマの人気度と正比例すると考える向きも一部にあるようだが、これにはテレビマンたちが閉口している。実情と合わないからだ。  日本テレビ系の有料動画配信サービス「Hulu」には約260万人の会員がいる。会員はTVerに登録しなくたって見逃した同局の連ドラを全て自由に観られる。フジ系「FOD」の会員約100万人も同じだ。  TBS、テレビ東京のドラマは「U-NEXT(ユーネクスト)」で観られる。会員数は370万人以上。テレ朝にも「TELASA」などがあり、相当数の会員がいる。  視聴者全員がTVerに頼るしかないという環境ではなく、有料動画配信サービスの会員数もバラバラで前提条件が違うから、お気に入り登録数とドラマの人気度は正比例しないのだ。  また、TVerへの考え方は各局間で温度差がある。テレビ朝日はドラマの最後にお気に入り登録を呼び掛けていない。春ドラマの本番はこれから。夏に笑っているのは、どのドラマか。 <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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