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広島で「広島焼き」がタブー扱いされる理由を探る。「口にしたら生きては帰れない」

21世紀になるまでは許容していた?

『暮らしの手帖』1998年10月号に掲載された「広島焼きと峯吉さん」という4ページの記事だ。ここでは、広島市の瀬野出身の男性が自信の「お好み焼き」の思い出を語りレシピを紹介している。  ここで、この人物はこう語っている。 ===== ぼくは広島生まれですから、もちろん広島焼き。関東風、関西風、韓国風やイタリア風まで、いろいろ試してみましたが、なんといっても、究極は広島焼きです。 =====  やはり少なくとも21世紀になるまでは、広島人は「広島焼き」を許容していたようだ。それが、なぜキレるようになってしまったのか。

「2013年以降の事例」を振り返る

 広島では「広島焼き」がタブーという説が文献に登場するようになったのは、2013年以降である。発見できた限りで、このことに触れている事例を羅列してみよう。 ===== “広島焼き”“広島風お好み焼き”という呼び方が許せない」という人が数多くいるので (広島研究委員会『広島人の頭の中』中経出版 2013年) 「広島焼き」とはなんだ!それは「お好み焼き」だ! (岡田大『広島県あるある』宝島社 2013年) お好み焼きのことを広島焼きと呼ばれるとなんかムカつく (幸部辰哉『広島人あるある』TOブックス 2014年) これは広島焼じゃなくてお好み焼!!じゃけぇ (白島キヨコ『ぶちえぇね!広島県民』KADOKAWA 2016年) 「他府県の人がお好み焼きのことを広島焼きというのは許せない」 (岩中祥史『広島の力』青志社 2017年) 料理名として軽率である上、日本語として歪なので僕たちに「広島焼って違和感あるよね」と思わせているのだ。 (シャオヘイ『熱狂のお好み焼:お好み焼ラバーのための新教科書』ザメディアジョン 2019年) =====
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なぜキレるのか、結局真相は藪の中…
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