更新日:2023年06月05日 23:08
仕事

「授乳時に嫉妬する旦那」「父親が誰か分からない」…助産師が見た、衝撃現場の数々

産まれた子どもの父親は一体誰なのか…

 そんな山口さんが「絶対に忘れられない」と話すのは、治安の悪さで有名なある地域の妊婦だ。 「出生後、すぐに処置をしないと生命に関わる病気の赤ちゃんでした。明言は避けますが、近親相姦によって生まれるリスクの高い病気です。その妊婦のご家族は地元で自営業をしていました。家族経営で、外部との接触もほぼないとのことです。  結局最後まで、妊婦はお腹の子が誰の子なのか、はっきりわからないのだと言っていました。妊婦は簡単な受け答えはできるものの、回答の多くは『わからない』で、自身の兄弟についてもよくわかっていませんでした。  ただ、妊婦が言った言葉で鳥肌が立ったのは、『うちの兄弟、確か9人いたはずなのに、いつのまにか8人になってたのよ』というものです。あとからソーシャルワーカーに聞いた話では、家族のほとんどが刑務所か精神病院に入っていて、幼い頃から十分なケアをされずに育ったとのことです。  産まれた子どもの父親は、誰なんでしょうか。病名からして想像はつきますが、あまり考えたくない話です」 ===== “親ガチャ”という言葉がもてはやされ、既に旬を過ぎて定着した感さえあるが、本人のやる気や能力以前に家庭環境の持つ意味合いは大きい。人生は、始まる前からもう始まっている。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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