AIに仕事が奪われる?画像生成系AIはイラストレーターやマンガ家を殺すのか
コンピュータが人間以上のクオリティで自動的に絵を描いてくれる――これはSFではなく、じつはそういう時代はすでに来ている。日進月歩するその性能への脅威論が高まるいっぽう、創作活動に活かそうとする動きもあるこの最新デジタルアート事情を紹介しよう。
「生成系AI」という言葉をご存じだろうか。2022年にアメリカのIT企業、Open AI社がチャットの形式で答にあたるテキストを自動生成するサービス「Chat Gpt」を公開して以降、ビジネスシーンでも話題になっているAI(人工知能)を使った画像やテキストを生成するオンラインサービスが現在「生成系AI」と呼ばれているものだ。
テキスト生成AI(AIチャット)に関しては、2023年5月22日に東京工芸大学、富士通などが合同で国産スーパーコンピュータ「富岳」を使ったAIを開発することが発表され話題になっている(日経新聞5月22日『日本語能力の高い生成AIの基盤技術、スパコン「富岳」で開発へ…東工大・富士通などのチーム』)が、ここではテキストやイメージを元にAIによって独自の画像を生成するサービス「画像生成系AI」が国内外のクリエイターたちのあいだに巻き起こしている波紋を見ていこう。
画像生成AIは2022年8月にMidjourney、Stable Diffusionの二つのシステムがリリースされ、これらを利用したオンラインサービスが登場したことで注目を集めた。
あらかじめ学習した大量の画像データを元に、AIにオリジナルの画像イメージを出力させるこのテクノロジーは、コンテンツ制作やグラフィックデザインにおけるコスト削減につながることを期待されるいっぽう、簡単に高品質なグラフィックイメージを生成できてしまうことから、現役のイラストレーターやマンガ家からは自分たちの「仕事を奪う」技術として、その危険性を指摘する声も大きい。
今のところ、この技術は2023年4月末に日本語対応したMicrosoftが提供している「Bing Image Creator」に代表される、チャットのようなかたちでユーザーが画像の具体的なイメージをテキストとして打ち込み、AIが画像を生成するデモ的な使われ方が主流だが、Adobeがクリエイター向けの「Illustrator」、「Photoshop」といった自社ソフトに画像生成AIを組みこみ、ユーザーが作成したラフ画をAIによって補完する、画像の加工、修正にAIを利用するといった、より実践的なソフトウェアへの機能実装も始まっている。
では、本当にこの技術は、イラストレーターやマンガ家にとって脅威なのだろうか。
話題の「生成系AI」とはなんなのか
誰でもハイクオリティなイラストを作成できるサービス
フリーライター。著書『誰もが表現できる時代のクリエイターたち』、『戦争はいかに「マンガ」を変えるか:アメリカンコミックスの変貌』(NTT出版)、『キャラクターとは何か』(ちくま新書)共編著『アメリカンコミックス最前線』(大日本印刷)。東京工芸大学非常勤講師。明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフ。
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