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2023年春ドラマ「コア視聴率」BEST10。最終回の評価でみえた“成功作の法則”とは

コア視聴率4位、5位は若い世代を狙った作品

Pending Train

『Pending Train』番組公式HPより

 4位『ペンディングトレイン』もSFものとパニックもの、対立劇などが詰め込まれ、若い世代にウケそうな作品だった。コアが高いのは納得である。  5位『だが、情熱はある』もコアは良かった。制作側の狙い通りに違いない。中身はオードリーの若林正恭(髙橋海人)と南海キャンディーズの山里亮太(森本慎太郎)の半生記。あえて大御所ではない2人を主人公に据え、その悪戦苦闘を描いたのが面白かった。

主演女優が光った作品

 6位『Dr.チョコレート』もコアをメインターゲットにした娯楽作だった。まず、10歳の白山乃愛が天才外科医に扮する時点で、リアリティを追求しないという作品側の無言のメッセージが観る側に送られた。その上で、コアが好みそうな「悪の秘密結社」、「その黒幕探し」を盛り込んだところがうまかった。家族で観られる作品だった。  同率6位『わたしのお嫁くん』はふんわりした恋愛ドラマだった。ズボラ女性を演じた波瑠(32)、家事力ピカイチのお嫁くんを演じた高杉真宙(26)の透明感、清潔感がストーリーにマッチしていた。  高畑充希(31)が主演した8位の『unknown』は深みのある連ドラだった。回が進むに連れ、翌週が待ち遠しくなった。ドラキュラ狩りの犯人を推理するのが楽しかった一方で、観る側に静かに訴えるテーマは重厚。ドラキュラたちがその正体を懸命に隠したり、町田啓太(32)が演じたカメラマンがドラキュラ狩りに血道を上げたりしたのは奥底に人間の持つ差別心があるから。隣人との共存を呼び掛ける作品だった。
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奈緒は主演級女優の立場を固めた
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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