「上履き」を子供に履かせてはいけない理由。成長とケガを予防するベストな選択とは
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
子供用の靴はこの10年間ですさまじい進化をとげています。スポーツ医学×AIの発展で、「どこでどう曲がって、どう動けば足の発達にいいのか」ということが分析されているので、以前ほどデザインだけのダメな子供靴は減ってきました。
とは言うものの、「ダメな子供靴」はまだまだ存在します。ここでは、「ダメな子供靴」を、「足の動きを阻害して、成長をさまたげ、ケガのもとになる靴」と定義します。昭和生まれの筆者が子供のころは、そんな靴だらけでした。小学生のころから「偏平足」「開帳足」で、長い間ウオノメに悩まされ、その原因が靴だったことを知ったのは大人になってからです。
今、これを読んでいるあなたの足のトラブルも、子供のころに履いた靴が原因という方も多いと思います。そして、その代表的なものがスクールシューズ、いわゆる「上履き用のバレエシューズ」なのです。
この手の「上履き」は、まず、足をきちんと固定できません。紐やベルトで調節ができず、足が靴の中で遊ぶので、足の裏の摩擦が激しくなりマメができます。また、それをかばうために、おかしな歩き方のクセがつきやすくなります。
このデザインの特性上、長さも幅も必ずどちらかがゆるくなります。フィットさせたくても中敷きが取れず、構造的にもどこでも曲がってしまうのでネンザの原因にもなります。さらに日常的に履くのでネンザがクセになり、スポーツでも日常でも、最悪の場合は大人になってもケガを引きずる方が少なくありません。実際に私がそうです。
学校側は「脱ぎ履きがしやすいように」や「できるだけ公平に安価なものを」と考えているのかもしれませんが、時代錯誤もはなはだしい。もし、子供の足に不調があるようであれば、整形外科でネンザの診断書をもらって、別の靴を履かせましょう。診断書を見て「NO」という学校は、令和にはまずありません。
バレエシューズのように、足を固定できない靴は害だと考えてください。外履きの靴では、まず筆頭に上がるのがサンダルです。
「ベルトがついてるでしょ」と思われた方、まず、子供と大人ではそもそもの運動量がちがいます。ベルト1本で足を固定することは大人ですら困難です。男女とも子供の足の成長は中学生まで続くので、成長過程にある足にサンダルはダメージを与えます。あくまでよそ行きで短時間使用するぶんにはアリですが、脱着がラクだからといって日常的に履かせるのは危険。
ビーチサンダルもやめてください。ビーチならありですが、アスファルトは危険です。同じことはスポーツサンダルにも言えます。足の甲までしっかり覆っていたり、底のクッションが効いていてもしょせんはサンダル。足元は思いのほか不安定で子供の運動量にはまったくついていけないので、かなりの確率で脱げて怪我をしたり、なにかに巻き込まれたりする事故に直結します。
では、外履きでは何を履かせればいいのか? 「水遊びシューズ」という靴をご存じでしょうか。
「上履き」を履かせてはいけない
足が固定できない靴はNG
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
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